この記事の3つのポイント
・術後内分泌療法中または終了後12か月以内に再発したPIK3CA変異陽性ホルモン受容体陽性HER2陰性の局所進行性または転移性乳がんを対象とした第3相INAVO120試験
・PI3K阻害薬Inavolisib+イブランス+フェソロデックスの有効性・安全性を検討
・Inavolisib併用により無増悪生存期間が有意に改善
2024年10月30日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて術後内分泌療法中または終了後12か月以内に再発したPIK3CA変異陽性ホルモン受容体陽性HER2陰性の局所進行性または転移性乳がんに対するPI3K阻害薬Inavolisib+イブランス(一般名:パルボシクリブ)+フェソロデックス(一般名:フルベストラント)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相INAVO120試験(NCT04191499)の結果がNicholas C氏らにより公表された。
本試験は、術後内分泌療法中または終了後12か月以内に再発したPIK3CA変異陽性ホルモン受容体陽性HER2陰性の局所進行性または転移性乳がんに対して、1日1回Inavolisib 9mg+イブランス+フェソロデックスを投与する群、もしくはプラセボ+イブランス+フェソロデックスを投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した二重盲検ランダム化試験である。
追跡期間中央値がそれぞれの群で21.3ヶ月、21.5ヶ月時点において、主要評価項目であるPFSの中央値は、Inavolisib併用群の15.0ヶ月(95%信頼区間:11.3-20.5ヶ月)に対してプラセボ併用群で7.3ヶ月(95%信頼区間:5.6-9.3ヶ月)と、Inavolisib併用により病勢進行または死亡のリスクが57%減少した(HR:0.43,95%信頼区間:0.32-0.59,P<0.001)。客観的奏効率(ORR)は、Inavolisib併用群の58.4%に対してプラセボ併用群で25.0%を示した。
グレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)は、好中球減少症がInavolisib併用群の80.2%に対してプラセボ併用群で78.4%、高血糖が5.6%に対して0%、口内炎が5.6%に対して0%、下痢が3.7%に対して0%をそれぞれ示した。TRAEによる治療中止率は、Inavolisib併用群の6.8%に対してプラセボ併用群で0.6%を示した。
以上の結果よりNicholas C氏らは、「術後内分泌療法中または終了後12か月以内に再発したPIK3CA変異陽性ホルモン受容体陽性HER2陰性の局所進行性または転移性乳がんに対するInavolisib+イブランス+フェソロデックス併用療法は、PFSを有意に改善し、有害事象に伴う治療中止も低率でした」と結論付けた。
参照元:
Inavolisib-Based Therapy in PIK3CA-Mutated Advanced Breast Cancer(The New England Journal of Medicine 2024 DOI: 10.1056/NEJMoa2404625)あなたは医師ですか。