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乳がんにおける日本初のプラットフォーム試験(S-FACT試験)開始:新規薬剤開発の加速化に期待
[公開日] 2024.11.07[最終更新日] 2024.11.07
国立がん研究センターは11月6日、同センターが中央支援機構を担う日本臨床腫瘍研究グループ(Japan Clinical Oncology Group:JCOG)の乳がんグループにおいて、日本初のプラットフォーム試験(S-FACT試験)を開始したことを発表した。
世界で乳がんにおける新規薬剤の治療開発が進む中、日本がすべての開発品の情報を把握するのは困難であること、また個々の薬剤を別々の臨床試験で評価する従来の方法では、時間とリソースが分散され、迅速な治療開発が難しいことなどの課題がある。
そこでJCOGでは、有望な薬剤を遅滞なく評価し、日本の乳がん患者さんに届けるために、乳がんのサブタイプに応じて、複数の新規薬剤を同時に評価するプラットフォーム試験(S-FACT試験)を開始。医師主導治験として、短期間で判定が可能な手術前の治療効果を厳格に評価していく予定だ。
また、新規治療の評価には治験外で得られる手術後の長期予後の情報も重要である。この点に関しても、全国規模の多施設共同臨床試験グループであるJCOGの基盤を活かし、効率的にデータ収集と解析を行うことが可能となる。予後データと連結して解析することで、S-FACT試験の価値がさらに高まることが期待される。
具体的には、試験薬ごとに約2年間募集を行い、試験薬の有効性を評価するS-FACT試験そのものと、付随する予後調査研究の二段構えの研究体制のもと、全体としては約15年にわたり試験を継続させていくことを予定している。
対象は、臨床病期II期またはIII期乳がんであり、術前化学療法としての現在の標準療法と試験薬の有効性を比較検討する。まずはトリプルネガティブ乳がんの患者さんを対象とした群(コホート)で実施し、同プラットフォームにより新規治療薬候補が見つかった場合には、他のサブタイプコホートも順次開始していく。
S-FACT試験により、周術期の乳がんを対象とした有望な新規薬剤の開発が加速することは、ドラッグ・ラグやドラッグ・ロスの解消に向けた重要なステップになる。また同試験では、ctDNA(がん細胞から遊離し血中を循環しているDNA)のクリアランス(検出されない状態)を評価項目のひとつとしており、ctDNAを活用した治療戦略の確立による他がん種への応用も期待される。
参照元:
国立がん研究センター プレスリリース
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