この記事の3つのポイント
・未治療のHER2陰性進行性胃/胃食道接合部腺がんを対象とした第2相試験
・DKK1抗体薬DKN-01+抗PD-1抗体薬チスレリズマブ+化学療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率(ORR)は73%、病勢コントロール率は95%を示した
2024年10月21日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療のHER2陰性進行性胃/胃食道接合部腺がんを対象にDKK1抗体薬DKN-01+抗PD-1抗体薬チスレリズマブ+化学療法の有効性・安全性を検証した第2相試験(NCT04363801)の結果がMassachusetts General HospitalのSamuel J. Klempner氏らにより公表された。
本試験は、未治療のHER2陰性進行性胃/胃食道接合部腺がんに対する一次治療として、2週に1回DKN-01 300mg+3週に1回チスレリズマブ 200mg+3週に1回オキサリプラチン130mg/m2+1~15日目に1日2回カペシタビン1000mg/m2併用療法を実施し、主要評価項目として安全性、忍容性、重要な副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を検証したオープンラベルの第2相試験である。
本試験が開始された背景として、進行性胃/胃食道接合部腺がんに対する抗PD-1抗体薬の治療成績は依然として不十分である。以上の背景より、本疾患に対するDKK1抗体薬の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された25人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値61歳。性別は男性76%。ECOGパフォーマンスステータスは0が55%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
本試験の結果、重要な副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は73%(95%信頼区間:49.8%-89.3%)、病勢コントロール率(DCR)は95%を示した。DKK1発現率別の客観的奏効率(ORR)は、DKK1高発現患者群で90%(95%信頼区間:55.5%-99.7%)、DKK1低発現患者群で67%(95%信頼区間:29.9%-92.5%)を示した。
無増悪生存期間(PFS)中央値は11.3ヶ月(95%信頼区間:5.8-12.0ヶ月)、12ヶ月無増悪生存率(PFS)は33%を示した。全生存期間(OS)中央値は19.5ヶ月(95%信頼区間:15.2-24.4ヶ月)、12ヶ月全生存率(OS)は76%、18ヶ月全生存率(OS)は55%を示した。
以上の第2相試験の結果よりSamuel J. Klempner氏らは「未治療のHER2陰性進行性胃/胃食道接合部腺がんに対するファーストライン治療としてのDKK1抗体薬であるDKN-01、抗PD-1抗体薬であるチスレリズマブ、化学療法の併用療法は、PD-L1発現率に関係のない抗腫瘍効果を示しました」と述べている。
参照元:
DKN-01 in Combination With Tislelizumab and Chemotherapy as First-Line Therapy in Advanced Gastric or Gastroesophageal Junction Adenocarcinoma: DisTinGuish(J Clin Oncol . 2024 Oct 21:JCO2400410. doi: 10.1200/JCO.24.00410. )あなたは医師ですか。