この記事の3つのポイント
・CD22陽性B前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病を対象としたEWALL-INO試験
・抗CD22モノクローナル抗体イノツズマブ オゾガマイシン+低強度化学療法の有効性・安全性を検討
・イノツズマブ オゾガマイシンの使用により、良好な抗腫瘍効果を示す
2024年10月17日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてCD22陽性フィラデルフィア染色体陰性のB前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病と診断された高齢患者に対する抗CD22モノクローナル抗体イノツズマブ オゾガマイシン+低強度化学療法の有効性、安全性を検証した第2相のEWALL-INO試験(NCT03249870)の結果がNantes University HospitalのPatrice Chevallier氏らにより公表された。
EWALL-INO試験は、CD22陽性フィラデルフィア染色体陰性のB前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病と診断を受けた高齢患者(N=131人)に対して、初回導入療法でビンクリスチン+デキサメタゾン+イノツズマブ オゾガマイシン併用療法を3回実施し(1日目0.8mg/m2、8,15日目0.5mg/m2)、続く2回目の導入療法でシクロホスファミド+デキサメタゾン+イノツズマブ オゾガマイシン併用療法を2回実施し(1,8日目0.5mg/m2)。奏効症例に対して最大6サイクルの地固め化学療法、18ヶ月の化学維持療法を実施し、主要評価項目として1年全生存率を検証したオープンラベル前向きの第2相試験である。
本試験の結果、完全寛解率(CR)もしくは血小板未回復の完全寛解率(CR with incomplete platelet recovery)は90%、測定可能残存病変(0.0001未満)は80%の患者で確認され、奏効を達成した119人の患者のうち49人が再発、14人が死亡した。
主要評価項目である1年全生存率は73.2%、1年無再発生存率は66%、累積再発率は25%をそれぞれ示した。ハイリスクの遺伝子変異、CD22低発現(<70%)は全生存期間の悪化と関連し、ハイリスクの遺伝子変異、測定可能残存病変(0.0001未満)はともに無再発生存率、累積再発率の悪化と関連した。
以上のEWALL-INO試験の結果より、Patrice Chevallier氏らは「CD22陽性フィラデルフィア染色体陰性のB前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病と診断された高齢患者に対するイノツズマブ オゾガマイシンは、初回治療として有望な地治療選択肢であることを裏付けました」と結論付けた。
参照元:
Inotuzumab Ozogamicin and Low-Intensity Chemotherapy in Older Patients With Newly Diagnosed CD22+ Philadelphia Chromosome–Negative B-Cell Precursor Acute Lymphoblastic Leukemia(Journal of Clinical Oncology 2024 doi:10.1200/JCO.24.004)あなたは医師ですか。