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骨髄線維症に対する新薬への期待:GSKのサイエンス力で希少がんに挑む
[公開日] 2024.10.22[最終更新日] 2024.10.23
10月18日、グラクソ・スミスクライン(GSK)株式会社は「骨髄線維症の現状課題とがん領域におけるGSK の取り組み」と題したセミナーを開催した。
骨髄線維症には、原発性骨髄線維症(PMF)と、真性多血症または本態性血小板血症から移行した二次性骨髄線維症(2nd MF)の二種類があり、特に原発性骨髄線維症の予後は不良である。これらの疾患に対して2014年、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤であるジャカビ(一般名:ルキソリチニブ)が承認された。生存率の大幅な改善に加えて、疲労や痛み、睡眠障害や食欲不振などQOL(生活の質)に関わる臨床症状の改善も見られたことから、松村到先生(近畿大学医学部教授)は「非常に画期的な薬剤の登場であった」と語る。
そこから10年間、なかなか新薬が出てこなかったが、2024年にオムジャラが承認となった。同剤は、「1つの薬剤でありながら、2つの機能を持つという点で従来の薬剤と比較して非常に優れている」と松村先生。1つはジャカビと同様のJAK阻害機能。そしてもう一方は、アクチビンA受容体1型(ACVR1)の阻害機能である。
ACVR1阻害により鉄代謝の制御を担うペプシジンの産生を抑制し、循環血中の鉄濃度を増加させ、造血を促進するという特徴を持つ。実際、SIMPLIFY-1試験においては、ジャカビと比較してオムジャラのヘモグロビン値と血小板数の平均値の改善が認められ、有害事象としての貧血も大幅に軽減された。
その他、炎症性サイトカインの減少による倦怠感などの症状改善、髄外造血の抑制による脾臓の縮小など、ジャカビと比較して更なる臨床症状の改善も認められた。嘔吐に関してはジャカビと比較して増加傾向であったが、これに関しては従来の化学療法のような重篤なものではなく、松村先生は「適切な制吐剤により管理可能なものである」と補足した。
GSK社が直近で承認を取得した薬は、骨髄線維症に対するオムジャラ(一般名:モメロチニブ)、承認申請した薬は、再発・難治性の多発性骨髄腫に対するベランタマブ マホドチンがあり、後者は希少疾病用医薬品に指定されている。骨髄線維症 のような希少ながんの治療開発に挑む理由として、GSK社取締役の向井陽美氏は、「骨髄線維症は長い期間新薬が出ていない領域であり、GSKのサイエンスの力で患者さんの治療に貢献したいという想いで開発を続けている」とその意義を語った。
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