この記事の3つのポイント
・ドキソルビシンベースの化学療法で奏効を達成した軟部肉腫を対象とした第2相のEREMISS試験
・維持療法としてのマルチキナーゼ阻害薬スチバーガの有効性・安全性を検討
・プラセボと比較して予後を有意に改善
2024年9月13日から17日、スペイン・バルセロナで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2024)にてドキソルビシンベースの化学療法で奏効を達成した軟部肉腫(STS)患者に対する維持療法としてのマルチキナーゼ阻害薬であるスチバーガ(一般名:レゴラフェニブ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のEREMISS試験の結果がPenel N氏らにより公表された。
EREMISS試験は、ドキソルビシンベースの化学療法で奏効を達成した軟部肉腫(STS)患者に対する維持療法としてスチバーガ単剤を投与する群(N=65人)、プラセボ単剤を投与する群(N=62人)に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、その他評価項目として全生存期間(OS)等を比較検証した第2相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はスチバーガ単剤群の5.6ヶ月(95%信頼区間:3.9-8.2ヶ月)に対してプラセボ単剤群で3.5ヶ月(95%信頼区間:1.8-3.6ヶ月)と、スチバーガ単剤群で病勢進行(PFS)のリスクを47%(HR:0.53,95%信頼区間:0.36-0.78,P=0.001)統計学的有意に改善した。
6ヶ月PFSはスチバーガ単剤群の49.5%(95%信頼区間:36.0%-61.7%)に対してプラセボ単剤群で14.6%(95%信頼区間:7.0%-24.9%)、12ヶ月PFSはスチバーガ単剤群の14.7%(95%信頼区間:6.7%-25.6%)に対してプラセボ単剤群で7.3%(95%信頼区間:2.4%-16.0%)を示した。
一方、その他評価項目であるOSの中央値はスチバーガ単剤群の27.6ヶ月に対してプラセボ単剤群で20.5ヶ月と、スチバーガ単剤群で死亡のリスクを22%(HR:0.78,95%信頼区間:0.50-1.22,P=0.028)減少するも統計学的有意な差は確認されなかった。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はスチバーガ単剤群の60.9%に対してプラセボ単剤群で11.3%を示し、スチバーガによる治療中止率は28.1%(N=18人)であった。
参照元:
1718O - EREMISS trial: A double-blind placebo (PBO)-controlled randomised trial assessing efficacy/safety of regorafenib (REGO) as maintenance therapy after 1st line doxorubicin-based chemotherapy in advanced soft-tissue sarcoma (ASTS) patients (pts)(ESMO 2024)あなたは医師ですか。