この記事の3つのポイント
・ALK遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんを対象とした第3相のALINA試験
・術後療法としてのALK阻害薬アレセンサのバイオマーカー解析
・TP53遺伝子変異の有無による効果の差を確認
2024年9月13日から17日、スペイン・バルセロナで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2024)にてALK遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する術後補助療法としてのALK阻害薬であるアレセンサ(一般名:アレクチニブ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のALINA試験(NCT03456076)におけるバイオマーカー解析の結果がPeter MacCallum Cancer CentreのSolomon BJ氏らにより公表された。
ALINA試験は、切除後のALK遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する術後補助療法としてアレセンサ単剤療法を実施する群、もしくはプラチナ製剤ベースの化学療法を実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無病生存期間(DFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、有害事象を検証した多施設共同ランダム化非盲検の第3相試験である。
本試験のバイオマーカー解析対象患者は193人、最も多くの患者で確認された遺伝子変異はEML4-ALK融合遺伝子変異が81%で、内訳はバリアント1が37%、バリアント2が33%を示した。以上の背景を有する患者に対する本バイオマーカー解析の結果は以下の通りである。
主要評価項目であるアレセンサ単剤群における無病生存期間(DFS)は、TP53遺伝子変異型がTP53遺伝子野生型に比べて悪化した(HR:2.73,95%信頼区間:0.89-8.39)。一方、プラチナ製剤ベースの化学療法群における無病生存期間(DFS)はこのような傾向が確認されなかった(HR:1.09,95%信頼区間:0.56-2.14)。なお、CDKN2A、CDKN2B、MTAP等の遺伝子変異有無によるアレセンサ単剤群における無病生存期間(DFS)の結果に差異は確認されなかった。
参照元:
1206MO - ALINA: Exploratory biomarker analyses in patients (pts) with resected ALK+ non-small cell lung cancer (NSCLC) treated with adjuvant alectinib vs chemotherapy (chemo)(ESMO 2024)あなたは医師ですか。