この記事の3つのポイント
・進行性神経内分泌腫瘍を対象とした第1b/2相のOPTIMIZE-1試験
・マルチキナーゼ阻害薬カボメティクス単剤療法の有効性・安全性を検討
・プラセボと比較して無増悪生存期間を有意に改善
2024年9月16日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて、進行性神経内分泌腫瘍に対するマルチキナーゼ阻害薬カボメティクス(一般名:カボザンチニブ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCABINET試験(NCT03375320)の結果がJennifer A. Chan氏らにより公表された。
本試験は、放射性核種標識ペプチド療法(PRRT)もしくは分子標的薬による治療歴のある進行性膵外神経内分泌腫瘍/膵神経内分泌腫瘍に対し、1日1回カボメティクス60mg単剤を投与する群、もしくはプラセボ単剤を投与する群に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として盲検独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)、重要な副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、安全性を比較検証した第3験である。
進行性膵外神経内分泌腫瘍(N=203人)における主要評価項目PFSの中央値は、カボメティクス単剤群の8.4ヶ月に対してプラセボ単剤群で3.9ヶ月と、カボメティクス単剤群で病勢進行または死亡のリスクが62%(HR:0.38,95%信頼区間:0.25-0.59,P<0.001)減少した。
進行性膵神経内分泌腫瘍(N=95人)における主要評価項目PFSの中央値は、カボメティクス単剤群の13.8ヶ月に対してプラセボ単剤群で4.4ヶ月と、カボメティクス単剤群で病勢進行または死亡のリスクが77%(HR:0.23,95%信頼区間:0.12-0.42,P<0.001)減少した。
進行性膵外神経内分泌腫瘍における副次評価項目ORRは、カボメティクス単剤群の5%に対してプラセボ単剤群で0%、進行性膵神経内分泌腫瘍におけるORRは、カボメティクス単剤群の19%に対してプラセボ単剤群で0%を示した。
グレード3以上の有害事象発症率は、カボメティクス単剤の62-65%に対してプラセボ単剤群で23-27%を示した。最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象は、高血圧、疲労、下痢、血栓塞栓イベントであった。
以上のCABINET試験の結果より、Jennifer A. Chan氏らは「治療歴のある進行性神経内分泌腫瘍に対するカボメティクスは、プラセボと比較して無増悪生存期間を有意に改善させ、新たな安全性の懸念もありませんでした」と結論付けた。
参照元:・マルチキナーゼ阻害薬カボメティクス単剤療法の有効性・安全性を検討
・プラセボと比較して無増悪生存期間を有意に改善
Phase 3 Trial of Cabozantinib to Treat Advanced Neuroendocrine Tumors(The New England Journal of Medicine 2024 DOI: 10.1056/NEJMoa2403991)