この記事の3つのポイント
・未治療の早期トリプルネガティブ乳がんを対象とした第3相のKEYNOTE-522試験
・周術期療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ+化学療法の有効性・安全性を検討
・最終解析により、全生存期間に有意な差が認められる
2024年9月15日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて未治療の早期トリプルネガティブ乳がんに対する周術期療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ+化学療法の有効性、安全性を化学療法と比較検証した第3相のKEYNOTE-522試験(NCT03036488)の最終解析結果がPeter Schmid氏らにより公表された。
KEYNOTE-522試験は、未治療の早期トリプルネガティブ乳がん患者(N=1174人)に対する術前療法として、3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+パクリタキセル+カルボプラチン併用療法を4サイクル実施後、3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+エピルビシンもしくはドキソルビシン+シクロホスファミド併用療法を4サイクルを実施する群(N=784人)、または3週を1サイクルとしてプラセボ+パクリタキセル+カルボプラチン併用療法を4サイクル実施後、3週を1サイクルとしてプラセボ+エピルビシンもしくはドキソルビシン+シクロホスファミド併用療法を4サイクルを実施する群(N=390人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として病理学的完全寛解率(pCR)、無イベント生存期間(EFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した二重盲検下の第3相試験である。なお根治手術後、患者は最大9サイクルにわたり3週間ごとに術後キイトルーダ+またはプラセボがそれぞれ投与された。
本試験のフォローアップ期間中央値75.1ヶ月時点における結果、副次評価項目である60ヶ月全生存率は、キイトルーダ+化学療法群の86.6%(95%信頼区間:84.0%-88.8%)に対してプラセボ+化学療法群で81.7%(95%信頼区間:77.5%-85.2%)を示した(P=0.002)。一方の安全性は、既存の安全性プロファイルで確認された有害事象と一致しており、本試験で新たに確認された有害事象はなかった。
以上のKEYNOTE-522試験の最終解析結果よりPeter Schmid氏らは、「未治療の早期トリプルネガティブ乳がん患者に対する術前化学療法へのキイトルーダ上乗せ、およびそれに続く術後キイトルーダは、OSを統計学的有意に改善しました」と結論付けた。
参照元:・周術期療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ+化学療法の有効性・安全性を検討
・最終解析により、全生存期間に有意な差が認められる
Overall Survival with Pembrolizumab in Early-Stage Triple-Negative Breast Cancer(The New England Journal of Medicine 2024 doi: 10.1056/NEJMoa2409932)