この記事の3つのポイント
・治療歴のあるホルモン受容体陽性HER2陰性の切除不能転移性乳がんを対象とした第3相のTROPION-Breast01試験
・抗TROP2抗体薬物複合体であるダトポタマブ デルクステカンの有効性・安全性を検討
・無増悪生存期間を有意に改善
2024年9月12日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、治療歴のあるホルモン受容体陽性HER2陰性の切除不能転移性乳がんに対する抗TROP2抗体薬物複合体であるダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd)の有効性、安全性を検証した第3相のTROPION-Breast01試験(NCT05104866)の結果がMassachusetts General Hospital Cancer CenterのAditya Bardia氏らにより公表された。
TROPION-Breast01試験は、治療歴のあるホルモン受容体陽性HER2陰性の切除不能転移性乳がん患者に対して、3週を1サイクルとしてダトポタマブ デルクステカン6mg/kgを投与する群(N=365人)、もしくはエリブリン、カペシタビン、ビノレルビン、ゲムシタビン等の主治医選択薬を投与する群(N=367人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として盲検独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証した第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるPFSに関して、主治医選択薬群に比べてダトポタマブ デルクステカン群で病勢進行または死亡のリスクを37%(HR:0.63,95%信頼区間:0.52-0.76,P<0.0001)統計学的有意に改善した。もう1つの主要評価項目であるOSに関しては、主治医選択薬群に比べてダトポタマブ デルクステカン群で死亡のリスクを16%(HR:0.84,95%信頼区間:0.62-1.14)減少するも評価時点では未成熟であった。
グレード3以上の治療関連有害事象発症率はダトポタマブ デルクステカン群の20.8%に対して主治医選択薬群に比べて44.7%と、主治医選択薬群に比べてダトポタマブ デルクステカン群で低率であった。最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象はダトポタマブ デルクステカン群で吐き気51.1%、口内炎50%、主治医選択薬群で好中球減少症30.8%であった。
以上のTROPION-Breast01試験の結果よりAditya Bardia氏らは「今回の結果は、治療歴のあるホルモン受容体陽性HER2陰性の切除不能転移性乳がんに対して、ダトポタマブ デルクステカンが新しい治療選択肢になる可能性を支持しています」と結論付けた。
参照元:・抗TROP2抗体薬物複合体であるダトポタマブ デルクステカンの有効性・安全性を検討
・無増悪生存期間を有意に改善
Datopotamab Deruxtecan Versus Chemotherapy in Previously Treated Inoperable/Metastatic Hormone Receptor–Positive Human Epidermal Growth Factor Receptor 2–Negative Breast Cancer: Primary Results From TROPION-Breast01(Journal of Clinical Oncology 2024 doi: 10.1200/JCO.24.00920)