この記事の3つのポイント
・限局型小細胞肺がんを対象とした第3相のADRIATIC試験
・化学放射線療法後の抗PD-L1抗体イミフィンジの有効性・安全性を検討
・無増悪生存期間、全生存期間が有意に改善
2024年9月13日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて限局型小細胞肺がん(LD-SCLC)に対する化学放射線療法後の抗PD-L1抗体薬イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ)単剤療法、イミフィンジ+抗CTLA-4抗体薬イジュド(一般名:トレメリムマブ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のADRIATIC試験(NCT03703297)の結果(今回はイミフィンジとプラセボを比較した最初の中間解析の結果)がYing Cheng氏らにより公表された。
ADRIATIC試験は、LD-SCLC患者に対する化学放射線療法後の地固め療法として、4週を1サイクルとしてイミフィンジ1500mg単剤を最大24ヶ月投与する群(N=264人)、もしくはイミフィンジ1500mg+イジュド75mg併用療法を最大24ヶ月実施する群(N=200人)、もしくはプラセボ単剤を最大24ヶ月投与する群(N=266人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証した二重盲検ランダム化プラセボ対照の第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるOSの中央値はイミフィンジ群の55.9ヶ月(95%信頼区間:37.3ヶ月-未到達)に対してプラセボ群で33.4ヶ月(95%信頼区間:25.5-39.9ヶ月)と、イミフィンジ群で死亡のリスクを27%(HR:0.73,98.321%信頼区間:0.54-0.98,P=0.01)統計学的有意に改善した。
もう1つの主要評価項目であるPFSの中央値は、イミフィンジ群の16.6ヶ月(95%信頼区間:10.2-28.2ヶ月)に対してプラセボ治療群で9.2ヶ月(95%信頼区間:7.4-12.9ヶ月)と、イミフィンジ治療群で病勢進行または死亡のリスクを24%(HR:0.76,97.195%信頼区間:0.59-0.98,P=0.02)統計学的有意に改善した。
一方の安全性として、グレード3から4の有害事象発症率は、イミフィンジ群の24.4%に対してプラセボ群で24.2%、有害事象による治療中止率はイミフィンジ群の16.4%に対してプラセボ群で10.6%を示した。グレード3もしくは4の肺炎、放射線肺炎の発症率はイミフィンジ群の3.1%に対してプラセボ群で2.6%を示した。
以上のADRIATIC試験の結果よりYing Cheng氏らは「LD-SCLC患者に対する化学放射線療法後のイミフィンジは、全生存期間および無増悪生存期間を有意に改善しました」と結論を述べた。
参照元:・化学放射線療法後の抗PD-L1抗体イミフィンジの有効性・安全性を検討
・無増悪生存期間、全生存期間が有意に改善
Durvalumab after Chemoradiotherapy in Limited-Stage Small-Cell Lung Cancer(The New England Journal of Medicine 2024 doi: 10.1056/NEJMoa2404873)