この記事の3つのポイント
・エストロゲン受容体陽性HER2陰性の進行乳がんを対象とした1a/1b相のEMBER試験
・選択的エストロゲン受容体分解薬Imlunestrant単剤療法、および標的治療薬との併用療法の有効性・安全性を検討
・併用療法により、安全性・有効性ともに有望な結果を示す
2024年9月6日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、エストロゲン受容体陽性HER2陰性の進行乳がんに対する選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)であるImlunestrant単剤療法、および標的治療薬との併用の有効性、安全性を検証した1a/1b相のEMBER試験の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのKomal L. Jhaveri氏らにより公表された。
本試験は、エストロゲン受容体陽性HER2陰性の進行乳がん患者に対して、1日1回Imlunestrant単剤を投与する群、Imlunestrant+CDK4/6阻害剤ベージニオ(一般名:アベマシクリブ)±アロマターゼ阻害剤(AI)を投与する群、Imlunestrant+mTOR阻害剤アフィニトール(一般名:エベロリムス)またはPI3Kα特異的阻害剤アルペリシブを投与する群に振り分け、評価項目として第2相試験推奨用量、安全性、薬物動態を検証した試験である。本試験に登録された全患者は262人(1a相段階で74人、1b相段階で188人)であった。
本試験の結果、第2試験推奨用量は、1日1回Imlunestrant 400mgとして決定した。
この用量でImlunestrant単剤療法を受けた患者の無増悪生存期間中央値(mPFS)は7.2ヶ月(95%信頼区間:3.7-8.3ヶ月)を示した。またImlunestrant+ベージニオ併用療法、またはImlunestrant+ベージニオ+AI併用療法を受けた患者のmPFSは、それぞれ19.2ヶ月(95%信頼区間:13.8ヶ月-未到達)と未到達を示した。Imlunestrant+アフィニトールまたはImlunestrant+アルペリシブ併用療法を受けた患者のmPFSは、それぞれ15.9ヶ月(95%信頼区間:11.3-19.1ヶ月)と9.2ヶ月(95%信頼区間:3.7-11.1ヶ月)を示した。
以上のEMBER試験の結果よりKomal L. Jhaveri氏らは、「エストロゲン受容体陽性HER2陰性の進行乳がんに対するImlunestrantは、単剤療法または標的治療との併用療法として、予備的抗腫瘍活性および管理可能な安全性プロファイルを有していました」と結論づけた。
参照元:・選択的エストロゲン受容体分解薬Imlunestrant単剤療法、および標的治療薬との併用療法の有効性・安全性を検討
・併用療法により、安全性・有効性ともに有望な結果を示す
Imlunestrant, an Oral Selective Estrogen Receptor Degrader, as Monotherapy and in Combination With Targeted Therapy in Estrogen Receptor–Positive, Human Epidermal Growth Factor Receptor 2–Negative Advanced Breast Cancer: Phase Ia/Ib EMBER Study(Journal of Clinical Oncology 2024 doi:10.1200/JCO.23.027)