この記事の3つのポイント
・PIK3CA変異陽性ホルモン受容体陽性/HER2陰性の進行乳がんを対象とした第1/2相試験
・PI3K阻害薬イナボリシブ+CDK4/6阻害薬イブランス+ホルモン療法の有効性・安全性を検討
・併用療法により、良好な奏効率および管理可能な安全性プロファイルを示す
2024年9月5日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてPIK3CA変異陽性ホルモン受容体陽性/HER2陰性の進行乳がんに対するPI3K阻害薬イナボリシブ+CDK4/6阻害薬イブランス(一般名:パルボシクリブ)+ホルモン療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験(NCT03006172)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer Center and Weill Cornell Medical CollegeのKomal L. Jhaveri氏らにより公表された。
本試験は、PIK3CA変異陽性ホルモン受容体陽性HER2陰性の進行乳がん患者(N=53人)に対して、イナボリシブ+イブランス+レトロゾール併用療法を、病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで実施する群(N=33人)、もしくはイナボリシブ+イブランス+フェソロデックス(一般名:フルベストラント)併用療法を病勢進行または予期せぬAEが発現するまで実施する群(N=20人)に無作為に振り分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORRおよび安全性を検証した試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるORRは、レトロゾール併用群で52.0%、フェソロデックス併用群で40.0%を示した。無増悪生存期間(PFS)中央値は、レトロゾール併用群で23.3ヶ月、フェソロデックス併用群で35.0ヶ月を示した。
一方の安全性として、最も多く確認された治療関連有害事象(TRAE)は口内炎、高血糖、下痢であった。またグレード3以上のTRAE発症率は、レトロゾール併用群で87.9%、フェソロデックス併用群で85.0%を示した。TRAEによる治療中止率はレトロゾール併用群で6.1%、フェソロデックス併用群で10.0%を示した。
以上の結果よりKomal L. Jhaveri氏らは「イナボリシブ+イブランス+内分泌療法は、管理可能な安全性プロファイルおよび有望な抗腫瘍効果を示しました」と結論付けた。
参照元:・PI3K阻害薬イナボリシブ+CDK4/6阻害薬イブランス+ホルモン療法の有効性・安全性を検討
・併用療法により、良好な奏効率および管理可能な安全性プロファイルを示す
Phase I/Ib Trial of Inavolisib Plus Palbociclib and Endocrine Therapy for PIK3CA-Mutated, Hormone Receptor–Positive, Human Epidermal Growth Factor Receptor 2–Negative Advanced or Metastatic Breast Cancer(Journal of Clinical Oncology 2024 dpi:10.1200/JCO.24.00110)