ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は8月16日、CD19 を標的とする CAR T細胞療法「ブレヤンジ 静注」(一般名:リソカブタゲン マラルユーセル)について、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(グレード 1、2、3A)を対象とした効能、効果又は性能の追加に係る再生医療等製品製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。
CAR T療法とは、患者さん自身のT細胞に対して遺伝子改変によりCAR(キメラ抗原受容体:標的とするがん細胞の表面にある抗原に結合するように人工的に組み換えられた受容体)を発現させたCAR T細胞を用いる治療法のこと。CAR T細胞表面のCARが、がん細胞の抗原に結合し、がん細胞を攻撃する。
ブレヤンジは、悪性化したB細胞の表面にあるCD19を標的として設計されたCAR T細胞療法(キメラ抗原受容体遺伝子改変自家T細胞療法)である。また、4-1BB 共刺激ドメイン(CAR T細胞の活性化を誘発する部位)を有することで増殖と持続性を高めている。
今回の承認は、日本人を含む再発又は難治性の低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫患者(グレード 1、2、3A の濾胞性リンパ腫患者を含む)を対象としたブレヤンジの有効性・安全性を評価する国際共同第2相試験(JCAR017-FOL-001試験/TRANSCEND FL試験)の結果に基づくものである。
同試験において、3次治療以降でブレヤンジが投与された濾胞性リンパ腫患者(コホート1及びコホート2)の有効性解析対象集団101例(うち日本人は8例)について、主要評価項目である全奏効割合は、97.0%[95%信頼区間:91.6-99.4]であり、統計的に有意な有効性が認められた。なお、コホート1及びコホート2の日本人集団8例の全奏効割合100%[95%信頼区間:63.1-100]であった。
また、同試験において、2次治療でブレヤンジが投与された高リスク濾胞性リンパ腫患者(コホート 3)の有効性解析対象集団23例(うち日本人は1例)について、主要評価項目である全奏効割合は95.7%[95%信頼区間:78.1-99.9]であり、統計的に有意な有効性を示した。なお、日本人1例に関しても、奏効が認められた。
安全性プロファイルは従来の報告と同様であり、新たな安全性シグナルは認められなかった。
今回の承認を受けてブリストル・マイヤーズ スクイブ社研究開発本部長の杉田真氏は、プレスリリースにて「今回、高リスクの 2次および3次治療以降の濾胞性リンパ腫(グレード 1、2、3A)の承認により、すべてのグレードの濾胞性リンパ腫患者さんにCAR T細胞療法という新たな治療選択肢が提供できることを嬉しく思います。健康に最も深刻な影響を及ぼすがんという疾患の複雑性、多様性、絶えず変化する性質に対応し、今後も深刻な病気を抱える患者さんの人生に違いをもたらすために、革新的な治療法の研究開発を進めてまいります」とコメントしている。
参照元:
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 プレスリリース
あなたは医師ですか。