この記事の3つのポイント
・測定可能残存病変陰性の成人急性リンパ性白血病を対象とした第3相のECOG-ACRIN-E1910試験
・地固め療法としての化学療法に、二重特異性T細胞誘導抗体であるビーリンサイト追加の有効性・安全性を検討
・併用療法により、生存率の大幅な改善が認められる
2024年8月2日、医学誌『New England Journal of Medicine』にて、測定可能残存病変(MRD)陰性の成人前駆B細胞急性リンパ性白血病(BCP-ALL)に対する地固め療法としての化学療法+BiTE (二重特異性T細胞誘導)抗体ビーリンサイト(一般名:ブリナツモマブ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のECOG-ACRIN-E1910試験(NCT02003222)の結果がMayo ClinicのMark R. Litzow氏らにより公表された。
ECOG-ACRIN-E1910試験は、寛解導入療法後にMRD陰性と診断されたBCR-ABL融合遺伝子陰性BCP-ALL患者に対する地固め療法として、B細胞上のCD19表面抗原を標的としたBiTE抗体であるブリナツモマブ+化学療法を4サイクル投与する群(N=112人)、もしくは化学療法単剤を4サイクル投与する群(N=112人)に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無再発生存期間(RFS)を比較検証した第III相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値43ヶ月時点における結果、主要評価項目である3年全生存率は、ブリナツモマブ併用群の85%に対して化学療法単剤群で68%を示した。
また、3年無再発生存率は、ブリナツモマブ併用群で80%に対して化学療法単剤群で64%を示した。
安全性に関しては、ブリナツモマブ併用群では、化学療法単剤群よりも精神神経系イベントの発生率が高かった。
以上のECOG-ACRIN-E1910試験の結果よりMark R. Litzow氏らは「MRD陰性の寛解後に再発した成人BCP-ALL患者に対する地固め化学療法にブリナツモマブを追加したところ、全生存率が大幅に改善しました」と結論付けた。
参照元:・地固め療法としての化学療法に、二重特異性T細胞誘導抗体であるビーリンサイト追加の有効性・安全性を検討
・併用療法により、生存率の大幅な改善が認められる
Blinatumomab for MRD-Negative Acute Lymphoblastic Leukemia in Adults(N Engl J Med 2024. DOI: 10.1056/NEJMoa2312948)