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PIK3CA遺伝子変異陽性乳がんに対するPI3K阻害剤inavolisib、日本における独占的開発権および販売権を取得

[公開日] 2024.08.07[最終更新日] 2024.08.07

中外製薬株式会社は7月31日、PIK3CA遺伝子変異を有するホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の進行性乳がんに対して開発中のPI3Kα阻害剤inavolisibについて、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社と導入契約を締結したことを発表した。同契約により中外製薬は、日本におけるinavolisibの独占的開発権および販売権を取得した。

inavolisibは、PI3Kαに対する高い活性と特異性を有し、PI3Kαの阻害と変異型PI3Kαの分解を促進する独自の作用機序を持つ経口のPI3Kα阻害剤である。同剤は、PIK3CA遺伝子変異を有する局所進行性または転移性乳がんのうち、HR陽性/HER2陰性の患者さんを対象に2つ(INAVO120、INAVO121)、HER2陽性の患者さんを対象に1つ(INAVO122)の海外第3相臨床試験が進行中だ。

INAVO120試験に関しては、初回治療としてのinavolisib+パルボシクリブ+フルベストラントが、パルボシクリブ+フルベストラントのみと比較して、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を2倍以上に延長し、病状の悪化または死亡リスクが57%減少することが既に示されている(PFS中央値:15.0か月 ve 7.3か月、ハザード比:0.43、95%信頼区間:0.32-0.59、p<0.0001)。

同結果に基づき、PIK3CA遺伝子変異を伴うHR陽性HER2陰性の局所進行または転移性乳がんに対するinavolisibは、米国食品医薬品局(FDA)より画期的治療薬(Breakthrough Therapy)の指定を受けるとともに、2024年11月27日をPDUFA(処方薬ユーザーフィー法)の審査期限として優先審査に指定されている。

中外製薬 代表取締役社長 CEOの奥田修氏は、「海外の臨床試験で良好な結果を示しているinavolisibは、乳がん患者さんへの新たな治療選択肢となることが期待されます。inavolisibを日本の患者さんに早期にお届けするため、ロシュ社と緊密に連携し国内開発を進めてまいります」とコメントしている。

参照元:
中外製薬株式会社 ニュースリリース

ニュース 乳がん PI3Kα

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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