ALK融合遺伝子陽性の進行性非小細胞肺がんに対する初回治療としてのローブレナ、高い抗腫瘍効果を維持ASCO2024


  • [公開日]2024.07.03
  • [最終更新日]2024.07.03
この記事の3つのポイント
ALK融合遺伝子陽性の進行性非小細胞肺がんを対象とした第3相のCROWN試験
・ALK阻害薬ローブレナの有効性安全性を比較検討
無増悪生存期間の大幅な改善と、脳転移の高い抑制効果を示す

2024年5月31日から6月4日、米国・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会2024(ASCO 2024)にて、ALK融合遺伝子陽性の進行性非小細胞肺がんに対する初回治療としてのALK阻害薬ローブレナ(一般名:ロルラチニブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第3相のCROWN試験(NCT03052608)の5年長期フォローアップの結果がPeter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J. Solomon氏らにより公表された。

CROWN試験は、ALK融合遺伝子陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対する初回治療として1日1回ローブレナ100mg単剤を投与する群(N=149人)、1日2回ザーコリ(一般名:クリゾチニブ)250mg単剤を投与する群(N=147人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第3相試験である。

本試験の追跡期間中央値がローブレナ群で60.2ヶ月、ザーコリ群で55.1ヶ月の時点における結果は下記の通りである。主要評価項目であるPFSの中央値は、ローブレナ群の未到達(95%信頼区間:64.3ヶ月-未到達)に対してザーコリ群で9.1ヶ月(95%信頼区間:7.4-10.9ヶ月)と、ローブレナ群で病勢進行または死亡のリスクを81%統計学的有意に改善した(HR:0.19,95%信頼区間:0.13-0.27)。5年無増悪生存率はローブレナ群の60%(95%信頼区間:51%-68%)に対してザーコリ群で8%(95%信頼区間:3%-14%)であった。

グレード3以上の有害事象(AE)発症率はローブレナ群の77%に対してクリゾチニブ群で57%を示した。治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率は、ローブレナ群の5%に対してザーコリ群で6%を示した。安全性プロファイルは既存の臨床試験で確認されているローブレナの有害事象(AE)と一致していた。

以上のCROWN試験の結果よりBenjamin J. Solomon氏らは、「ALK融合遺伝子陽性の進行性非小細胞肺がんに対する初回治療としてのALK阻害薬ローブレナ単剤療法は、5年追跡後でもPFSの中央値は未到達で、良好な抗腫瘍効果を示しました」と結論付けた。

参照元:
Lorlatinib vs crizotinib in treatment-naïve patients with advanced ALK+ non-small cell lung cancer: 5-year progression-free survival and safety from the CROWN study.(ASCO 2024)

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