複数治療歴のあるエストロゲン受容体陽性/HER2陰性の進行または転移性乳がんに対するKAT6阻害薬、単剤およびフェソロデックスとの併用で良好な効果を示すASCO2024


  • [公開日]2024.06.25
  • [最終更新日]2024.06.20
この記事の3つのポイント
・複数治療歴のあるエストロゲン受容体陽性/HER2陰性の進行または転移性乳がんを対象とした第1相試験
・KAT6阻害薬であるPF-07248144単剤療法、PF-07248144+フェソロデックス併用療法有効性安全性を検討
・PF-07248144単剤療法、PF-07248144+フェソロデックス、いずれも良好な有効性および安全性プロファイルを示す

2024年5月31日から6月4日、米国シカゴで開催された米国癌治療学会(ASCO 2024)にて、複数治療歴のあるエストロゲン受容体陽性/HER2陰性の進行または転移性乳がんに対するKAT6阻害薬PF-07248144単剤療法、PF-07248144+フェソロデックス(一般名:フルベストラント)併用療法、の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT04606446)の結果が国立がん研究センター東病院の向原 徹氏らにより公表された。

本試験は、複数治療歴のあるエストロゲン受容体陽性/HER2陰性の進行または転移性乳がん患者に対して、1日1回PF-07248144 5mg単剤を投与する群(N=35人)、もしくは1日1回PF-07248144 5mg+フェソロデックス併用療法を投与する群(N=43人)に分け、主要評価項目として安全性、忍容性副次評価項目として抗腫瘍効果を検証した第1相試験である。

本試験に登録された患者の前治療歴中央値は、PF-07248144単剤群で5レジメン(1-13レジメン)、PF-07248144+フェソロデックス併用群で1レジメン(1-6レジメン)であった。

本試験のPF-07248144単剤群における結果は、客観的奏効率ORR)が11.4%(95%信頼区間:3.2%-26.7%)、奏効持続期間(DOR)中央値が12.0ヶ月(95%信頼区間:7.4ヶ月-未到達)、臨床的有用率CBR)が31.4%(95%信頼区間:16.9%-49.3%)を示した。

本試験のPF-07248144+フェソロデックス併用群における結果は、ORRが30.2%(95%信頼区間:17.2%-46.1%)、DOR中央値が9.2ヶ月(95%信頼区間:7.2ヶ月-未到達)、CBRが51.2%(95%信頼区間:35.5%-66.7%)、無増悪生存期間PFS)中央値が10.7ヶ月(95%信頼区間:5.3ヶ月-未到達)を示した。

PF-07248144+フェソロデックス併用群のうち、ESR1遺伝子変異は57.1%(N=24/42人)含まれており、ESR1遺伝子変異集団におけるORRは33.3%、PFS中央値は10.7ヶ月を示した。一方、ESR1遺伝子野生型集団(N=18人)ではORRは27.8%、PFS中央値は未到達を示した。また、PIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子変異陰性集団(N=23人)ではORRは34.8%、PFS中央値は10.8ヶ月を示した。

全患者群における治療関連有害事象(TRAE)は、グレード1もしくは2の味覚異常が84.6%、グレード3の好中球減少症が38.5%(グレード4は3.8%)、グレード3の白血球減少症が11.5%、グレード3の貧血が9.0%を示した。

以上の結果より向原 徹氏らは、「複数治療歴のあるエストロゲン受容体陽性/HER2陰性の進行または転移性乳がんに対するKAT6阻害薬PF-07248144単剤療法、PF-07248144+フェソロデックス併用療法は良好な抗腫瘍効果を示し、忍容性も良好でした。特に併用療法は、遺伝子変異の状態に関わらず有効性を示しました」と結論付けた。

参照元:
A phase 1 dose expansion study of a first-in-class KAT6 inhibitor (PF-07248144) in patients with advanced or metastatic ER+ HER2− breast cancer.(ASCO 2024)

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