この記事の3つのポイント
・抗PD-1抗体薬抵抗性の進行固形がんを対象とした第1相のDRAGON試験
・TGFβ1を選択的に阻害する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体Linavonkibart+抗PD-1抗体薬キイトルーダの有効性・安全性を比較検討
・免疫チェックポイント阻害剤関連の耐性を克服するための治療法として有望な可能性
2024年5月31日から6月4日、米国・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会2024(ASCO 2024)にて、抗PD-1抗体薬抵抗性のある進行固形がんに対するTGFβ1を選択的に阻害する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体Linavonkibart+抗PD-1抗体薬キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)併用療法の有効性と安全性を検証した第1相のDRAGON試験(NCT04291079)の結果がUniversity of MichiganのUlka N. Vaishampayan氏らにより公表された。
DRAGON試験は、抗PD-1抗体薬抵抗性のある進行固形がんに対して、3週を1サイクルとしてLinavonkibart+キイトルーダ併用療法を実施し、主要評価項目として用量制限毒性(DLT)、副次評価項目として抗腫瘍効果等を検証したオープンラベルの試験である。
本試験に登録された72人の患者背景は、性別が女性29%、年齢中央値が65歳、前治療歴中央値が3レジメン、全患者が少なくとも1回の抗PD-1治療薬を受けていた。
全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は、発疹が23.6%、掻痒症が20.8%、疲労が19.4%、下痢が12.5%を示した。グレード3のTRAEは、発疹が8.3%、グレード4のTRAEは、剥脱性皮膚炎、グレード5のTRAEは認められなかった。
客観的奏効率(ORR)は、淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC,N=30人)で20%、頭頸部がん(HNSCC,N=9人)で33.3%、悪性黒色腫で(MEL,N=9人)で20%、尿路上皮がん(UC,N=11人)で9.1%、非小細胞肺がん(NSCLC,N=11人)で0%を示した。
部分奏効(PR)、病勢安定(SD)の患者はそれぞれccRCCで6人と11人、HNSCCで2人と1人、MELで2人と5人、UCで1人と4人、NSCLCで0人と3人であった。
以上のDRAGON試験の結果よりUlka N. Vaishampayan氏らは、「TGFβ1選択的阻害薬である完全ヒトIgG4モノクローナル抗体であるLinavonkibartは、免疫チェックポイント阻害剤関連の耐性を克服するための治療法として有効性がある可能性が示唆されました」と結論付けた。
参照元:・TGFβ1を選択的に阻害する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体Linavonkibart+抗PD-1抗体薬キイトルーダの有効性・安全性を比較検討
・免疫チェックポイント阻害剤関連の耐性を克服するための治療法として有望な可能性
Phase 1 study (DRAGON) of SRK-181 (linavonkibart), a latent TGFβ1 inhibitor, combined with pembrolizumab in patients with anti-PD1 resistant advanced solid tumors: Updated results of expansion part.(ASCO 2024)