2024年5月31日-6月4日、米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会2024(ASCO 2024)のPlenary Sessionにて、切除可能III期悪性黒色腫(メラノーマ)における術前オプジーボ(一般名:ニボルマブ)+ヤーボイ(一般名:イピリムマブ)および術後オプジーボの有効性を検討した第3相NADINA試験の結果が、オランダNetherlands Cancer Institute (NKI-AVL)のChristian U. Blank氏らにより発表された。
NADINA試験は、肉眼的リンパ節転移を有する切除可能III期悪性黒色腫において、術前のヤーボイ80mg+オプジーボ240mgを3週毎に2コース行った後にリンパ節郭清(TLND)を実施し、病理学的奏効が認められない場合のみ、BRAF変異陽性症例には術後のタンフィラー(一般名:ダブラフェニブ)150mg(1日2回)+メキニスト(一般名:トラメチニブ)2mg(1日1回)を46週、BRAF変異陰性症例にはオプジーボ480mgを4週毎に11コース投与する群(術前療法群)と、TLND後にオプジーボ480mgを4週毎に12コース投与する群(術後療法群)にランダムに割り付け、主要評価項目として無イベント生存期間(EFS)を評価した試験。
追跡期間の中央値9.9か月時点において、12ヶ月EFSは術前療法群の83.7%に対して術後療法群で57.2%であり、術前療法群がイベント発生リスクを26.5%減少した(HR 0.3, 9.9%信頼区間:0.15ー0.66, P<0.0001)。また特筆すべき点として、術前療法群の約58.0%は、術前ヤーボイ+オプジーボにより高い病理学的奏効が認められたため、術後のオプジーボ投与を必要としなかった。
安全性に関しては、グレード3以上の全身治療関連有害事象は、術前療法群の29.7%に対して術後療法群で14.7%であった。またグレード3以上の手術関連有害事象はそれぞれ14.1%と14.4%で同等であった。また術後療法群においては、肺臓炎による死亡が1例で認められた。
NADINA試験は、悪性黒色腫において免疫療法のみからなる周術期治療の有効性・安全性を検討とした初の第3相試験であり、切除可能III期悪性黒色腫における新規の標準治療として検討されることが期待される。
参照元:Neoadjuvant nivolumab plus ipilimumab versus adjuvant nivolumab in macroscopic, resectable stage III melanoma: The phase 3 NADINA trial.(ASCO 2024)