切除不能III期EGFR変異陽性非小細胞肺がんに対する根治的化学放射線療法後のタグリッソ、PFSを有意に改善ASCO2024


  • [公開日]2024.06.18
  • [最終更新日]2024.06.20

2024年5月31日-6月4日、米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会2024(ASCO 2024)のPlenary Sessionにて、切除不能III期EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する根治的化学放射線療法後のタグリッソ(一般名:オシメルチニブ地固め療法を検討した第3相LAURA試験の結果が、 米Emory University School of MedicineのSuresh S. Ramalingam氏らにより発表された。

LAURA試験は、切除不能EGFR変異(del19/L858R)陽性III期NSCLC症例において、プラチナ製剤ベースの抗がん剤による根治的同時/逐次化学放射線療法を受けて増悪しなかった症例216人を、タグリッソ80mgを1日1回投与する群(143人)とプラセボを投与する群(73人)に割り付け主要評価項目として盲検下独立中央委員会(BICR)による無増悪生存期間PFS)を評価した無作為化二重盲検プラセボ対照多施設第3相試験である。なお、タグリッソは病勢進行または許容できない副作用が発現するまで継続、またプラセボ群は病勢増悪後タグリッソへのクロスオーバーが認められた。

主要評価項目であるPFSの中央値は、タグリッソ群で39.1ヶ月(95%信頼区間:31.5-NC)、プラセボ群で5.6ヶ月(95%信頼区間:3.7-7.4)、ハザード比0.16(95%信頼区間:0.10-0.24, p<0.001)であり、タグリッソによる有意な改善が認められた。

奏効率はタグリッソ群で57%、プラセボ群で33%であった。新規病変が出現したのはタグリッソ群で22人、プラセボ群で68人、脳転移が出現したのはタグリッソ群で8人、プラセボ群で29人であった。OSの中間解析の結果は未成熟であったが、現時点でのハザード比は0.81(95%信頼区間:0.42-1.56, p=0.530)であった。なお、プラセボ群の50人(81%)が増悪後にオシメルチニブ投与を受けていた。

安全性に関しては、副作用が発現したのはタグリッ群で98%、プラセボ群で88%、グレード3以上の副作用が発現したのはタグリッソ群で35%、プラセボ群で12%であった。放射線肺臓炎はオシメルチニブ群で48%、プラセボ群で38%に発現したが、その多くはグレード1/2であった。また間質性肺疾患がタグリッソ群で11人(8%)に起きたが、その多くはグレード1/2で、グレード5は1件であった。副作用のために投薬中止となったのは、タグリッソ群で13%、プラセボ群で5%であった。

LAURA試験により、根治的同時/逐次化学放射線療法後のタグリッソによる地固め療法は、統計的に有意かつ臨床的に意義のあるPFSの改善を示したことから、切除不能III期EGFR変異陽性NSCLCにおける新たな標準治療として同学会でも注目を集めた。

参照元:
Osimertinib (osi) after definitive chemoradiotherapy (CRT) in patients (pts) with unresectable stage (stg) III epidermal growth factor receptor-mutated (EGFRm) NSCLC: Primary results of the phase 3 LAURA study.(ASCO 2024)

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