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膵臓がんにおける新しいPET画像診断の医師主導治験を開始:膵臓がんの早期診断・より適切な治療法提供に期待

[公開日] 2024.06.13[最終更新日] 2024.06.13

6月11日、国立がん研究センターは「放射性抗体の超音波内視鏡ガイド投与による膵がん PET画像診断の医師主導治験(第Ⅰ相臨床試験)を開始」と題した記者会見を開催。臨床的に遠隔転移のない膵がん患者に対する診断用放射性薬剤64Cu-NCAB001の推奨用量を決定する第I相医師主導治験(NCCH2212:PRIME-64試験 )を実施することを発表した。 難治がんのひとつである膵臓がんは、早期発見が予後改善のひとつのカギを握る。しかしながら、膵臓がんは身体の深部にあり、また自覚症状にも乏しいため、早期に見つけることは非常に難しいとされている。特に1cm以下の小さながんを早期に発見・治療することは、生存延長効果があると期待されているものの、従来の検査方法では検出が困難とされてきた。 そこで今回は、基礎的な研究で既に微小な膵臓がんの画像化が可能であることが報告されている新しいPET画像診断法に着目。通常のPET検査(FDG-PET)では、ブドウ糖に放射性同位元素であるフッ素-18を結合させ(18F-FDG)、がん細胞のブドウ糖の取り込みを利用して18F-FDGをがん細胞に集積させいたのに対し、今回は膵臓がん細胞の表面に高発現する上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的にくっつく抗体に放射性同位元素銅-64を結合させ(64Cu-NCAB001)、膵臓がんへのより効率的で特異的な64Cu-NCAB001の集積を可能にしている。具体的な患者さんへの投与方法は、超音波内視鏡を使い、病理診断のための組織・細胞の採取と同時に64Cu-NCAB001を腹腔内に投与し、PET画像診断を行う。 今回実施する治験の参加対象は、膵臓がんが強く疑われる患者さんで、国立がん研究センター中央病院と神奈川県立がんセンターで実施予定だ。64Cu-NCAB001をヒトに投与するのは同試験が世界初であり、ファースト・イン・ヒューマン試験となる。 同治験の責任医師である肱岡範氏(国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科 医長)は、64Cu-NCAB001を使うことで、微小病変の発見および正確な病期判定による適切な治療の提供が可能になる、と治験の意義を強調。多くの膵臓がんの患者さんとご家族のために1日も早く革新的な診断・治療法の開発を目指したい、として記者会見を締めくくった。 なお64Cu-NCAB001は、膵臓がんの術後併用療法としても有効な可能性が非臨床試験において既に示されており、将来的には診断と治療が一体化した新たな技術としての開発も期待される。 参照元:
国立がんセンター プレスリリース
ニュース 膵臓がん PET

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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