国立がん研究センター東病院とペプチドリーム株式会社は6月4日、淡明細胞型腎細胞がんを対象にCarbonic
Anhydrase IX(CA9)を標的とする64Cu標識ペプチドである64Cu-PD-32766の有効性・安全性を評価する特定臨床研究において、国立がん研究センター東病院での最初の患者さんへの投与を開始したことを発表した。
CA9は淡明細胞型腎細胞がんに高発現(95%以上)する細胞表面のがん抗原であり、淡明細胞型腎細胞がんの診断・治療における重要な標的として注目されている。ペプチドリーム株式会社は独自の創薬開発プラットフォームであるPDPS(Peptide DiscoveryPlatform System)を活用するとともに子会社であるPDRファーマ株式会社においてin vivoイメージング(体内での化合物の分布、代謝、排泄を解析すること)および薬効試験を実施し、PD-32766を創製・開発した。
PD-32766を診断用の放射性核種である64Cuで標識し、PETイメージングのデータを取得することで、診断的有用性に関する情報を得られることに加え、治療用同位体で標識した際の治療効果の可能性に関する初期的な見解を得ることができる(このように放射線の技術を使って診断と治療の一体化を目指す手法をラジオセラノスティクスという)。更にそこで得られた情報を活用し、その後の臨床開発を加速することが可能である。
今回の臨床研究は、64Cu-PD-32766の人を対象とした初めての試験であり、2024年4月に国立がん研究センター東病院の臨床研究審査委員会で承認を得た。初発及び再発、又は再発疑いのある淡明細胞型腎細胞がんを対象とし、PETイメージングを用いて 64CuPD-32766 の安全性、薬物動態および病変部への集積性を確認すること等を目的としている。
今回得られた情報を活用することにより、今後放射性医薬品分野のさらなる臨床開発の加速につながることが期待される。
参照元:
国立がん研究センター プレスリリース
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