ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がんに対するTaletrectinib、良好な抗腫瘍効果を示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2024.06.06
  • [最終更新日]2024.06.04
この記事の3つのポイント
・ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がんを対象とした第2相のTRUST-I試験
・ROS1チロシンキナーゼ阻害薬であるTaletrectinib単剤療法有効性安全性を比較検討
・Taletrectinibは良好で持続的な抗腫瘍効果を示す

2024年06月01日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がんに対するROS1チロシンキナーゼ阻害薬であるTaletrectinib単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のTRUST-I試験(NCT04395677)の結果がShanghai Pulmonary Hospital and Thoracic Cancer InstituteのWei Li氏らにより公表された。

TRUST-I試験は、ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がん患者に対してTaletrectinib単剤を投与し、主要評価項目として独立判定委員会(IRC)評価により客観的奏効率ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間PFS)、安全性を検証した試験である。

本試験に登録された173人の患者背景は、年齢中央値が55歳、性別は女性が58%、喫煙者が73%、チロシンキナーゼ阻害薬未治療の症例が106人、クリゾチニブ既治療症例が67人であった。

主要評価項目は、チロシンキナーゼ阻害薬未治療症例においてORRが91%、頭蓋内奏効率(intracrania ORR)が88%、クリゾチニブ既治療症例においておORRが52%、頭蓋内奏効率(intracrania ORR)が73%であった。

チロシンキナーゼ阻害薬未治療症例におけるDORの中央値は未到達、PFSの中央値は23.5ヶ月を示した。クリゾチニブ既治療症例におけるDORの中央値は10.6ヶ月(95%信頼区間:6.3ヶ月-未到達)、PFSの中央値は7.6ヶ月(95%信頼区間:5.5-12.0ヶ月)を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は、AST上昇が76%、下痢が70%、ALT増加が68%で、大半のTRAEはグレード1もしくは2であった。神経系のTRAEは、めまいが23%、味覚障害が10%を示した。TRAEによる治療中止率は5%、減量率は19%を示した。

以上のTRUST-I試験の結果よりWei Li氏らは、「ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がん患者に対するROS1チロシンキナーゼ阻害薬であるTaletrectinib単剤療法は、良好で持続的な抗腫瘍効果を示しました」と結論付けた。

参照元:
Efficacy and Safety of Taletrectinib in Chinese Patients With ROS1+ Non–Small Cell Lung Cancer: The Phase II TRUST-I Study(Journal of Clinical Oncology 2024 doi:10.1200/JCO.24.0073)

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