この記事の3つのポイント
・既治療のFGFR変異陽性進行固形がんを対象とした第2相のFIGHT-207試験
・FGFR遺伝子変異毎にFGFR1-3阻害薬ペマジール単剤療法の有効性・安全性を検討
・複数のがんにおけるペマジールの有効性を示唆
2024年05月24日、医学誌『natur emedicine』にて、治療歴のあるFGFR遺伝子変異陽性進行固形がんに対するFGFR1-3阻害薬ペマジール(一般名:ペミガチニブ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のFIGHT-207試験(NCT03822117)の結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのJordi Rodón氏らにより公表された。
本試験は、FGFR遺伝子変異別にコホートが分かれており、コーホートAはfusions/rearrangements(遺伝子の融合/再配列:N=49人)、コーホートBはactivating non-kinase domain mutations(活性型非キナーゼドメイン変異:N=32人)、コーホートCはkinase domain mutations/variants of unknown significance(キナーゼドメイン変異/潜在的に病原性のある意義不明の変異N=26人)である。
上記FGFR遺伝子変異陽性の治療歴を有する進行固形がん患者に対して、ペマジール単剤1日1回13.5mgを21日サイクルで投与し、主要評価項目としてコホートAとBの客観的奏効率(ORR)、副次評価項目としてコホートAとBの無増悪生存期間(PFS)、奏効持続期間(DOR)、全生存期間(OS)、安全性を検証した第2相試験である。
本試験の結果、ORRはコーホートAで26.5%(95%信頼区間:15%-41%)、コーホートBで9.4%(95%信頼区間:2%-25%)、コーホートCで3.8%(95%信頼区間:0.1%-20%)であった。PFS中央値はコーホートAで4.5ヶ月、コーホートBで3.7ヶ月、DOR中央値はコーホートAで7.8ヶ月、コーホートBで6.9ヶ月、OS中央値はコーホートAで17.5ヶ月、コーホートBで11.4ヶ月を示した。
一方の安全性として、既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致しており、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は高リン血症が84%、口内炎が53%であった。
以上の結果からJordi Rodón氏らは「FGFR阻害の新たな治療領域を特定し、最も感受性の高いFGFR変異を確認するとともに、複数の腫瘍型におけるFGFR遺伝子変異検査の価値を強調しました。FGFR阻害剤治療が有効な患者さんを同定するために、ペミガチニブの効果を予測する今後の研究が必要です」と結論付けた。
参照元:・FGFR遺伝子変異毎にFGFR1-3阻害薬ペマジール単剤療法の有効性・安全性を検討
・複数のがんにおけるペマジールの有効性を示唆
Pemigatinib in previously treated solid tumors with activating FGFR1–FGFR3 alterations: phase 2 FIGHT-207 basket trial(Nature Medicine 2024. doi:10.1038/s41591-024-02934-7)