この記事の3つのポイント
・未治療のPD-L1陽性局所進行性/転移性トリプルネガティブ乳がん患者が対象の第3相試験
・テセントリク+サシツズマブ ゴビテカン併用療法の有効性・安全性をテセントリク+ナブパクリタキセル併用療法と比較検証
・客観的奏効率は76.7%、臨床ベネフィット率は83.3%を示すなど、対照群に対して有望な効果を示した
2024年05月15-17日、ドイツ・ベルリンにて開催されている欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024)にて未治療のPD-L1陽性局所進行性/転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)+抗Trop-2抗体薬物複合体(ADC)であるサシツズマブ ゴビテカン併用療法の有効性、安全性を検証した第Ib/II相のthe MORPHEUS-panBC試験(NCT03424005)の結果がCentre for Experimental Cancer MedicineのPeter Schmid氏らにより公表された。
the MORPHEUS-panBC試験は、未治療のPD-L1陽性局所進行性/転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者(N=42人)に対して、ファーストライン治療として21日を1サイクルとして1日目にテセントリク1200mg+1、8日目にサシツズマブ ゴビテカン10mg/kg併用療法を実施する群(N=31人)、もしくはテセントリク1200mg+ナブパクリタキセル併用療法を実施する群(N=11人)に分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、奏効持続期間(DOR)等を検証したオープンラベルの第Ib/II相試験である。
本試験の結果、客観的奏効率(ORR)はテセントリク+サシツズマブ ゴビテカン併用群の76.7%に対してテセントリク+ナブパクリタキセル併用群で66.7%、臨床ベネフィット率(CBR)はテセントリク+サシツズマブ ゴビテカン併用群の83.3%に対してテセントリク+ナブパクリタキセル併用群で66.7%を示した。副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はテセントリク+サシツズマブ ゴビテカン併用群の12.2ヶ月に対してテセントリク+ナブパクリタキセル併用群で5.9ヶ月、奏効持続期間(DOR)中央値はテセントリク+サシツズマブ ゴビテカン併用群の14.0ヶ月に対してテセントリク+ナブパクリタキセル併用群で7.1ヶ月を示した。
以上のthe MORPHEUS-panBC試験の結果よりPeter Schmid氏らは「未治療のPD-L1陽性局所進行性/転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対するファーストライン治療としてのテセントリク+サシツズマブ ゴビテカン併用療法で有望な効果が見られました。無増悪生存期間(PFS)のデータは未成熟でしたが、テセントリク+サシツズマブ ゴビテカン併用療法でベネフィットが認められる傾向が示されました。テセントリク+サシツズマブ ゴビテカン併用療法の安全性は個々の薬剤のプロファイルと一致しており、新たな安全性シグナルは見られませんでした」と結論を述べている。
参照元:Interim analysis (IA) of the atezolizumab (atezo) + sacituzumab govitecan (SG) arm in patients (pts) with triple-negative breast cancer (TNBC) in MORPHEUS-pan BC: A phase Ib/II study of multiple treatment (tx) combinations in pts with locally advanced/metastatic BC (LA/mBC)(Annals of Oncology (2024) 9 (suppl_4): 1-47. 10.1016/esmoop/esmoop103200)