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「治療と仕事の両立」の実態は?“サバイバートラック”に関するアンケート結果から見えてきたこと

[公開日] 2024.06.03[最終更新日] 2024.06.03

昨今がん患者さんの「治療と仕事の両立」が重要視されるようになり、企業におても制度普及などが進んでいる。しかしながら、がん治療中や復帰後に、「自分の意思とは無関係に職務内容や勤務時間が変わること(減ること)、その結果思うようなキャリアを積めないこと」などを経験するケースがあることも分かってきた。 この現象を一般法人がんチャレンジャーは、“サバイバートラック”と名付け、啓蒙活動を行っている。 その活動の一環として同法人は今回、サバイバートラックに関するアンケート(がん罹患経験者対象)を実施し、その結果を報告した(調査期間:2024年4月1日(月)~5月19日(日))。 アンケートの目的は、➀サバイバートラック体験がどの程度の割合で存在しているのかを把握すること、および➁企業・団体側ががん罹患経験者となった従業員にいかに対応していくべきかのヒントを収集し周知すること、の2点である。 調査対象はがん罹患経験者211名で、82.9%が女性、年齢層は50代(40.3%)と40代(36.5%)が多く、がんの告知時の勤務形態は60.2%が正社員であった。 まず、サバイバートラックの経験があると回答した方は全体の約4割を占めており、具体例としては、「責任ある仕事をさせてもらえなくなった」という回答が最も多く(27.9%)、部署の異動や仕事量の削減なども挙げられた。またその影響として、「仕事に対するモチベーションが下がった」という回答が最も多く(55.7%)、他にも給与の減少やメンタル不調などが挙がった。 (画像は同団体サイトより) 今後の具体的な対策として、企業・団体側が従業員の仕事に対する希望や疾患についての理解を深めること、また制度の見直しをすること、一方の従業員(がん罹患経験者本人)側が企業への働きかけを工夫していくことなど、具体的な回答も挙げられている。 国を主体とした「治療と仕事の両立」の取り組みの推進により、雇用継続という側面においては、企業・団体における制度充実やガイドラインの普及などの成果が出つつあるが、今回のアンケート調査を通して、個々の従業員への対応の必要性が課題として浮き彫りとなった。 また、サバイバートラックの影響により最終的に退職を決断した従業員も一定数いることから、企業の人材不足の観点からも、より早期の対応の重要性が示唆された。 がんチャレンジャーは、「弊法人ではこれまでも、がん罹患経験者にかかわる方に対して、「『寄り添い方』ハンドブック」や「『寄り添い方』体験談」などを通じて、かかわり方のヒントを提唱してきたが、今後はがん罹患経験者が自身の希望や状況を伝えられる関係が築けるような情報提供が求められていると感じており、一層の工夫や発信に努めていきたい」とコメントしている。 参照元:
一般法人がんチャレンジャー Resaerch
お役立ち 就労

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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