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早期再発切除不能局所進行または転移性トリプルネガティブ乳がんに対するテセントリク+化学療法、全生存期間を改善せず

[公開日] 2024.05.31[最終更新日] 2024.05.31

この記事の3つのポイント ・早期再発切除不能局所進行または転移性トリプルネガティブ乳がんを対象とした第3相のIMpassion132試験
・テセントリク+化学療法の有効性・安全性を検討
・主要評価項目である全生存期間の有意な改善を認めず
2024年05月15-17日、 ドイツ・ベルリンにて開催された欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024)にて、化学療法もしくは手術後12ヶ月以内に再発した早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する抗PD-L1抗体薬テセントリク(一般名:アテゾリズマブ)+主治医選択の化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相IMpassion132試験(NCT03371017)の結果がNational Cancer Center SingaporeのR. Dent氏らにより公表された。 IMpassion132試験は、化学療法もしくは手術後12ヶ月以内に再発したPD-L1陽性の早期TNBC対して、21日を1サイクルとしてテセントリク1200mg+主治医選択の化学療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで実施する群、もしくは主治医選択の化学療法のみを病勢進行または予期せぬAEが発現するまで実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、安全性を比較検証した二重盲検下ランダム化の第3相試験である。 本試験の結果、OSの中央値はテセントリク+化学療法群の12.1ヶ月に対して化学療法群で11.1ヶ月と、テセントリク+化学療法群は死亡のリスクを7%(HR:0.93,95%信頼区間:0.73–1.20,P=0.59)減少するも統計学的有意な改善は認められなかった。PFSの中央値はテセントリク+化学療法群の4.0ヶ月に対して化学療法群で4.0ヶ月を示した。ORRはテセントリク+化学療法群で40%に対して化学療法群で28%を示した。 安全性に関しては、有害事象の発症率は両群間で同様であり、新たな安全性シグナルは認められなかった。 以上のIMpassion132試験の結果よりR. Dent氏らは「化学療法もしくは手術後12ヶ月以内に再発したPD-L1陽性の早期TNBCに対する抗PD-L1抗体薬テセントリク+化学療法は、OSの有意な改善にはつながらず、依然として治療薬開発のための更なる研究が必要です」と結論付けた。 参照元:
IMpassion132 double-blind randomised phase III trial of chemotherapy with or without atezolizumab for early relapsing unresectable locally advanced or metastatic triple-negative breast cancer(annals of oncology 2024. doi:10.1016/j.annonc.2024.04.001)
ニュース 乳がん トリプルネガティブ

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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