この記事の3つのポイント
・閉経前のホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がんを対象とした第2相RIGHT Choice試験
・CDK4/6阻害薬であるリボシクリブ+内分泌療法の有効性・安全性を比較検討
・併用化学療法と比較して有効性・有害事象ともに良好な成績を示す
2024年05月21日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、閉経前のホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がんに対する初回治療としてのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬であるリボシクリブ+内分泌療法(ET)の有効性、安全性を比較検証した第2相RIGHT Choice試験の最終解析の結果がNational Taiwan University HospitalのYen-Shen Lu氏らにより公表された。
本試験は、閉経前のホルモン受容体陽性HER2陰性の進行性乳がん患者に対する初回治療として、1日1回リボシクリブ600mgを3週間投与後1週間休薬+ET(レトロゾール/アナストロゾールおよびゾラデックス)併用療法を実施する群、または主治医選択の化学療法(ドセタキセル+カペシタビン、パクリタキセル+ゲムシタビン、カペシタビン+ビノレルビン)併用療法を実施する群(N=110人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を検証したオープンラベル多施設共同の第2相試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるPFSの中央値は、リボシクリブ+ET群の21.8ヶ月(95%信頼区間:17.4-26.7ヶ月)に対して化学療法群で12.8ヶ月(95%信頼区間:10.1-18.4ヶ月)と、リボシクリブ+ET群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを39%(HR:0.61,95%信頼区間:0.43-0.87,P=.003)統計学的優位に改善した。
客観的奏効率(ORR)は、リボシクリブ+ET群の66.1%に対して化学療法群で61.8%、奏効までの期間中央値はリボシクリブ+ET群の4.9ヶ月に対して化学療法群で3.2ヶ月(HR:0.76,95%信頼区間:0.55-1.06)を示した。
一方の安全性に関しては、リボシクリブ+ET群では化学療法と比較して症状のある有害事象の発生割合が低かった。
以上の結果よりYen-Shen Lu氏らは、「閉経前のホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がん患者に対する初回治療としてのリボシクリブ+ETは、有意な化学療法と比較してPFSの改善、同等の奏効率、および優れた忍容性を示しました」と結論付けた。
参照元:・CDK4/6阻害薬であるリボシクリブ+内分泌療法の有効性・安全性を比較検討
・併用化学療法と比較して有効性・有害事象ともに良好な成績を示す
Final results of RIGHT Choice: Ribociclib plus endocrine therapy vs combination chemotherapy in premenopausal women with clinically aggressive HR+/HER2− advanced breast cancer(Journal of Clinical Oncology 2024. doi:10.1200/JCO.24.00144)