筋層非浸潤性膀胱がんに対するTAR-210、高い抗腫瘍効果を示すAUA 2024


  • [公開日]2024.05.27
  • [最終更新日]2024.05.27
この記事の3つのポイント
・筋層非浸潤性膀胱がんを対象とした第1相試験
・エルダフィチニブを膀胱内に局所的に放出するよう設計されたTAR-210システムの有効性安全性を検討
・高リスクおよび中リスクの筋層非浸潤性膀胱がんにおいて、高い無再発生存率および完全奏効を示す

2024年05月3日-6日、米国テキサス州サンアントニオで開催された米国泌尿器科学会(AUA 2024)にて、FGFR変異陽性筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)に対する膀胱内薬物送達システムTAR-210を用いたエルダフィチニブ膀胱内注入療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT05316155)の結果がUpstate Medical UniversityのJoseph Jacob氏らにより公表された。今回は、膀胱全摘除術に不適格または膀胱全摘除術を選択しなかったBCG膀胱内注入療法不応性のハイリスクNMIBCを対象としたコホート1、および中程度リスクの再発NMIBCを対象としたコホート3の結果が報告された。

本試験は、FGFR遺伝子変異陽性NMIBC患者に対してTAR-210を投与し、主要評価項目として有害事象発症率、用量制限毒性DLT)、副次評価項目として無再発生存率(RFR)、完全奏効率(CR)、奏効持続期間(DOR)等を検証した第1相試験である。

本試験の結果、コーホート1(N=21人)における副次評価項目である12ヶ月無再発生存率(RFR)は90%を示し、またコーホート3(N=31人)における完全奏効率(CR)は90%を示した。一方の安全性として、最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)はグレード1もしくは2の下部尿路障害であった。主要評価項目である用量制限毒性(DLT)の発現は確認されず、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率は3%(N=2人)の患者で確認された。

2024年3月22日のデータカットオフ時点で、2つのコホートで64人の患者がTAR-210による治療を受けていた。コーホート1の高リスクNMIBC患者21人のうち、12か月のRFRは90%だった。またコーホート3では、31人の患者が有効性評価可能で、CRは90%だった。

最も多くみられた治療関連有害事象(TEAE)は、グレード1/2の下部尿路症状であった。DLTはなく、死亡例もなかった。軽度の尿路症状のTEAEのため、2名の患者(3%)が治療を中止し、2名の患者が腎盂腎炎と敗血症、または尿路感染症と敗血症の重篤なTEAEを発症した。

参照元:
米ジョンソン・エンド・ジョンソン社 プレスリリース

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