この記事の3つのポイント
・胱内注入療法に不応性の高リスク筋層非浸潤性膀胱がんを対象とした第2b相SunRISe-1試験
・コホート2においてTAR-200単独療法の有効性・安全性を検証
・TAR-200単独療法において良好な抗腫瘍効果を認める
2024年05月03日-06日、米国テキサス州サンアントニオで開催されている米国泌尿器科学会(AUA 2024)にて、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)膀胱内注入療法に対して不応性の高リスク筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)に対するTAR-200(ゲムシタビンの膀胱内薬物送達システム)+抗PD-1抗体薬であるセトレリマブ併用療法、TAR-200単独療法、セトレリマブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第2b相のSunRISe-1試験(NCT04640623)におけるTAR-200単剤療法群(コホート2)の結果がUpstate Medical UniversityのJoseph Jacob氏らにより公表された。
SunRISe-1試験は、膀胱全摘除術を選択していないか、又は不適格で、BCGの膀胱内注入療法に不応性の高リスクNMIBC患者に対して、TAR-200+セトレリマブ併用療法を実施する群(コーホート1)、TAR-200単独療法を実施する群(コーホート2)、セトレリマブ単剤療法を実施する群(コーホート3)、TAR-200単剤療法を実施する群(乳頭疾患のみ;コーホート4)に無作為に振り分け、主要評価項目として完全奏効(CR)率、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、全生存期間(OS)、安全性等を検証したランダム化オープンラベルの第2相試験である。
TAR-200単独療法を受けた85人の患者背景は、年齢中央値が71歳(40-88歳)、乳頭部疾患が32.9%であった。主要評価項目であるCR率は82.8%(95%信頼区間:70.6%-91.4%)を示した。フォローアップ期間中央値29.9週時点において、1年間のDORを達成した患者は74.6%(95%信頼区間:49.8%-88.4%)を示した。奏効を示した85%(N=41/45人)の患者は完全寛解を維持しており、非奏効患者は筋層非浸潤性膀胱がんの進行、転移が確認された。治療開始12週時点で完全寛解を達成した47人の患者5人のうち4人が、完全寛解を2年間維持した。
一方の安全性として、治療関連有害事象(TRAE)発症率は71.8%の患者で確認され、10%以上の患者で確認されたTRAEは、頻尿35.3%、排尿困難29.4%、排尿切迫感15.3%、尿路感染症15.3%を示した。グレード3以上のTRAE発症率は8.2%(N=7人)で確認され、4.7%(N=4人)の患者で重篤なTRAEが確認された。また。4.7%(N=4人)の患者において、TRAEによる治療の中止が確認された。
以上のSunRISe-1試験におけるTAR-200単剤療法群の結果よりJoseph Jacob氏らは、「膀胱全摘除術に不適格または選択しなかったカBCG膀胱内注入療法に不応性のハイリスクMIBC患者に対するTAR-200単剤療法は、高率な完全寛解を達成し、持続的な奏効を示しました」と結論付けた。
参照元:・コホート2においてTAR-200単独療法の有効性・安全性を検証
・TAR-200単独療法において良好な抗腫瘍効果を認める
米Johnson&Johnson社 プレスリリース