手術後の再発リスクの高い腎細胞がんに対する術後療法としてのキイトルーダ、全生存期間を有意に改善The New England Journal of Medicineより


  • [公開日]2024.05.09
  • [最終更新日]2024.05.09
この記事の3つのポイント
・根治的腎摘除術又は腎部分切除術後の再発リスクが高い淡明細胞型腎細胞がんを対象とした第3相のKEYNOTE-564試験
・術後療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ有効性安全性を比較検討
・3回目の中間解析においても、プラセボと比較して全生存期間の改善を認める

2024年04月17日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて、手術後の腎細胞がんに対する術後療法としての抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-564試験(NCT03142334)の結果がToni K. Choueiri氏らにより公表された。

KEYNOTE-564試験は、手術後の再発リスクが高い淡明細胞型腎細胞がんに対する術後療法として、3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg単剤を最大17サイクル投与する群(N=496人)、もしくは3週を1サイクルとして、てプラセボを最大17サイクル投与する群(N=498人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無病生存期間DFS)、重要な副次評価項目として全生存期間(OS)、安全性を比較検証した国際多施設共同二重盲検下プラセボ対照の第3相試験である。

今回は追跡期間中央値が57.2ヵ月時点における結果が発表された。
主要評価項目であるDFSは、前回までの解析結果と同様の傾向を示し、プラセボ群に比べてキイトルーダ単剤群で病勢進行リスクの28%の改善が認められた(HR:0.72,95%信頼区間:0.59-0.87)。

副次評価項目であOSは、プラセボ群に比べてキイトルーダ単剤群で死亡リスクを38%統計学的有意に改善した(HR:0.62,95%信頼区間:0.44-0.87,P=0.005)。48ヵ月OSは、キイトルーダ単剤群で91.2%に対してプラセボ群で86.0%を示した。

一方の安全性として、重篤な有害事象(SAE)発症率は、キイトルーダ単剤群で20.7%に対してプラセボ群で11.5%、グレード3もしくは4のAE発症率は、キイトルーダ単剤群で18.6%に対してプラセボ群で1.2%を示した。なお、キイトルーダ関連のAEによる死亡は1人も確認されなかった。

以上のKEYNOTE-564試験の結果よりToni K. Choueiri氏らは、「術後の再発リスクが高い明細胞腎細胞がんにおいて、術後療法としてのキイトルーダは、全生存期間の有意かつ臨床的に意義のある改善に関与していることが示されました」と結論付けた。

参照元:
Overall Survival with Adjuvant Pembrolizumab in Renal-Cell Carcinoma(N Engl J Med 2024 doi:10.1056/NEJMoa2312695)

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