PSMA陽性転移性去勢抵抗性前立腺がんに対する[177Lu]Lu-PSMA-617+イクスタンジ、無増悪生存期間を改善The Lancet Oncology


  • [公開日]2024.05.07
  • [最終更新日]2024.04.30
この記事の3つのポイント
PSMA陽性転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象とした第2相試験
・[177Lu]Lu-PSMA-617+イクスタンジ併用療法の有効性安全性を検討
・イクスタンジ単剤と比較いて無増悪生存期間を改善

2024年04月12日、医学誌『The Lancet Oncology』にてPSMA陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対する標的化合物と治療用放射性核種を組み合わせた放射性リガンド療法(RLT)ルテチウム-177[177Lu]Lu-PSMA-617+アンドロゲン受容体拮抗薬イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT04419402)の結果がSt Vincent’s HospitalのLouise Emmett氏らにより公表された。

本試験は、mCRPC患者(N=162人)に対する初回治療として、1日1回イクスタンジ160mg単剤を投与する群(N=79人)、もしくは1日1回イクスタンジ160mg+6~8週を1サイクルとして[177Lu]Lu-PSMA-617を投与する群(N=83人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として前立腺特異抗原PSA)値に基づく無増悪生存期間(PFS)を比較検証したランダム化オープンラベル試験である。

本試験の結果、主要評価項目であるPSA値に基づいたPFSの中央値は、イクスタンジ単剤群の7.8ヶ月(95%信頼区間:4.3-11.0ヶ月)に対してイクスタンジ+[177Lu]Lu-PSMA-617併用群で13.0ヶ月(95%信頼区間:11.0-17.0ヶ月)と、イクスタンジ+[177Lu]Lu-PSMA-617併用群で病勢進行または死亡のリスクが57%(HR:0.43,95%信頼区間:0.29-0.63,P<0.0001)減少した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレード有害事象(AE)は、イクスタンジ単剤群で疲労が70%(N=55/79人)、吐き気が27%(N=21/79人)、便秘が23%(N=18/79人)、エンザルタミド+[177Lu]Lu-PSMA-617併用群で疲労が75%(N=61/81人)、吐き気が47%(N=38/81人)、ドライマウスが40%(N=32/81人)を示した。グレード3から5のAE症率は、エンザルタミド単剤群の41%(N=32人)に対してエンザルタミド+[177Lu]Lu-PSMA-617併用群で40%(N=32人)を示した。

以上の結果よりLouise Emmett氏らは、「mCRPC患者に対する標的化合物と治療用放射性核種を組み合わせたRLTとしての[177Lu]Lu-PSMA-617+アンドロゲン受容体拮抗薬イクスタンジ併用療法は、イクスタンジ単剤療法に比べてPSA値に基づく無増悪生存期間(PFS)を改善しました」と結論付けた。

参照元:
[177Lu]Lu-PSMA-617 plus enzalutamide in patients with metastatic castration-resistant prostate cancer (ENZA-p): an open-label, multicentre, randomised, phase 2 trial(Lancet Oncol. 2024 Apr 12:S1470-2045(24)00135-9. doi: 10.1016/S1470-2045(24)00135-9.)

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