治療歴のあるエストロゲン受容体陽性/HER2陰性進行乳がんに対するGiredestrant、抗腫瘍効果を示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2024.04.18
  • [最終更新日]2024.04.16
この記事の3つのポイント
・治療歴のあるエストロゲン受容体陽性/HER2陰性進行乳がんを対象とした第2相acelERA BC試験
・経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)であるGiredestrantの有効性を検証
・統計的有意性なしも、抗腫瘍効果を認める

2024年03月27日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、治療歴のあるエストロゲン受容体(ER)陽性/HER2陰性進行乳がんに対する経口選択的ER分解薬(SERD)であるGiredestrant単剤療法内分泌療法の有効性、安全性を比較検証した第2相acelERA BC試験(NCT04576455)の結果がHospital Gregorio MarañónのMiguel Martín氏らにより公表された。

acelERA BC試験は、治療歴のあるER陽性/HER2陰性進行乳がん患者(N=303人)に対して、1日1回Giredestrant 30mgを投与する群、もしくは医師選択の内分泌療法(ルベストラントまたはアロマターゼ阻害剤)を実施する群に1対1の割合で振り分け、主要評価項目として主治医評価の無増悪生存期間PFS)を比較検証した試験である。

フォローアップ期間中央値7.9ヶ月時点で、主要評価項目である主治医評価のPFSは、内分泌療法群に比べてGiredestrant単剤群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを19%減少(HR:0.81,95%信頼区間:0.60-1.10,P=0.1757)したが、統計学的有意な差は確認されなかった。

副次評価項目であるESR1遺伝子変異ステータス別患者群(N=232)における主治医評価のPFSは、ESR1遺伝子変異陽性群(N=90人)でハザード比0.60(95%信頼区間:0.35-1.03)、ESR1遺伝子変異陰性群(N=142人)でハザード比0.88(95%信頼区間:0.54-1.42)を示した。

一方の安全性として、グレード3もしくは4の有害事象(AE)、重篤な有害事象(SAE)、AEによる治療中止率はGiredestrant単剤群、内分泌療法群の両群間で差が確認されなかった。

以上のacelERA BC試験の結果よりMiguel Martín氏らは、「治療歴のあるER陽性/HER2陰性進行乳がn患者に対する経口SERDであるGiredestrant単剤療法は、内分泌療法に比べて主治医評価のPFSを統計学的有意には改善しませんでしたが、一貫した治療効果が認められました。特にESR1遺伝子変異陽性群に対しては臨床的意義のある改善傾向を示し、忍容性も良好だったため、Giredestrantの更なる研究の可能性を裏付けています」と結論を述べた。

参照元:
Giredestrant for Estrogen Receptor–Positive, HER2-Negative, Previously Treated Advanced Breast Cancer: Results From the Randomized, Phase II acelERA Breast Cancer Study(Journal of Clinical Oncology 2024. doi:10.1200/JCO.23.01500)

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン