プラチナ抵抗性または不応性卵巣がんに対するセジラニブ+リムパーザ併用療法、生存期間を改善せずSGO 2024より


  • [公開日]2024.04.17
  • [最終更新日]2024.04.17
この記事の3つのポイント
・プラチナ抵抗性または不応性卵巣がんを対象とした第3相のNRG-GY005試験
VEGF-1/2/3/受容体を標的としたチロシンキナーゼ阻害剤セジラニブ+PARP阻害剤リムパーザ有効性安全性を検証
無増悪生存期間および全生存期間の有意な改善は認められず

2024年03月16日~18日、米国・サンディエゴで開催された米国婦人科腫瘍学会(The Society of Gynecologic Oncology,SGO 2024)にてプラチナ抵抗性または不応性卵巣がんに対するVEGF-1/2/3/受容体を標的としたチロシンキナーゼであるセジラニブ+ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬であるリムパーザ(一般名:オラパリブ併用療法、セジラニブ単剤療法、主治医選択化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のNRG-GY005試験(NCT02502266)の結果がNational Cancer Institute in BethesdaのJung-Min Lee氏らにより公表された。

本試験は、プラチナ抵抗性または不応性卵巣がん患者(N=510人)に対して1日1回セジラニブ30mg+1日2回リムパーザ200mg併用群(N=170人)、1日1回セジラニブ30mg単剤群(N=170人)、もしくは主治医選択の化学療法群(N=170人)に1対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率ORR)を比較検証した第3相試験である。

本試験に登録された510人の患者背景は、年齢中央値が64.2歳(24.5-85.3歳)、PSステータスはスコア0が54.1%、BRCA遺伝子は野生型が76.3%、前治療歴血管新生阻害薬が19.2%、プラチナ系製剤が31.6%であった。

本試験の結果、主要評価項目であるPFSの中央値は、セジラニブ+リムパーザ併用群の5.2ヶ月に対して主治医選択化学療法群で3.4ヶ月と、セジラニブ+リムパーザ併用群で病勢進行または死亡のリスクを20.4%(HR:0.796, 95%信頼区間:0.597-1.060,P=0.145)減少するも、統計学的有意な差は確認されなかった。また、セジラニブ単剤群は4.0ヶ月を示し、主治医選択化学療法群に比べて病勢進行または死亡のリスクを2.8%(HR:0.972, 95%信頼区間:0.726-1.300,P=1.00)減少した。

もう1つの主要評価項目であるOSの中央値は、セジラニブ+リムパーザ併用群の12.8ヶ月に対して主治医選択化学療法群で13.6ヶ月と、主セジラニブ+リムパーザ併用群で死亡のリスクが2.7%(HR:1.027, 95%信頼区間:0.771-1.368)増加し、統計学的有意な差は確認されなかった。また、セジラニブ単剤群は10.5ヶ月を示し、主治医選択化学療法群に比べて死亡のリスクが6%(HR:1.060, 95%信頼区間:0.795-1.413)増加した。

副次評価項目であるORRは、セジラニブ+リムパーザ併用群で31.4%(N=48人)、主治医選択化学療法群で13.4%(N=19人)、セジラニブ単剤群で22%(N=35人)をそれぞれ示した。奏効持続期間(DOR)中央値は、セジラニブ+リムパーザ併用群で15.5ヶ月、主治医選択化学療法群で5.2ヶ月、セジラニブ単剤群で5.7ヶ月をそれぞれ示した。

セジラニブ+リムパーザ併用群で多くの患者で確認された低グレードの血液関連有害事象(AE)は貧血が16.6%、好中球数減少が12.8%、白血球数減少が12.3%、血小板数減少が20.3%を示した。低グレードの非血液関連AEは高血圧が36.8%、倦怠感が58.9%、体重減少が22.3%、甲状腺機能低下症が27.0%、拒食症が35.6%、口内炎が21.5%、下痢が66.9%、腹痛が27.0%、頭痛が29.4%を示した。

参照元:
Olaparib Plus Cediranib Falls Short in All-Comers With Platinum-Resistant or Refractory Ovarian Cancer(SGO 2024)

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン