局所進行頭頸部扁平上皮がんに対するキイトルーダ+同時化学放射線療法、無イベント生存期間を改善せずThe Lancet Oncologyより


  • [公開日]2024.04.11
  • [最終更新日]2024.04.04
この記事の3つのポイント
・局所進行頭頸部扁平上皮がんを対象とした第3相のKEYNOTE-412試験
・抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ+同時化学放射線療法の有効性安全性を検証
・無イベント生存期間を改善せず

2024年03月29日、医学誌『The Lancet Oncology』にて、局所進行頭頸部扁平上皮がん(HNSC)に対する抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)+同時化学放射線療法(CCRT)の有効性、安全性を検証した第3相のKEYNOTE-412試験(NCT03040999)の結果がCliniques Universitaires Saint-Luc and Institut de Recherche Clinique et ExpérimentaleのJean-Pascal Machiels氏らにより公表された。

KEYNOTE-412試験は、局所進行性HNSC患者に対して、3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+CCRT併用群(N=402)、もしくはプラセボ+CCRT群(N=402)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無イベント生存期間(EFS)、その他評価項目として安全性等を比較検証したランダム化二重盲検の第3相試験である。

本試験に登録された804人の患者背景は、性別は男性が82%(N=660人)、女性が18%(N=144人)、人種は白人が77%(N=622人)であり、追跡期間中央値47.7ヶ月時点における結果が報告された。

主要評価項目であるEFSの中央値は、キイトルーダ+CCRT併用群の未到達(95%信頼区間:44.7ヶ月-未到達)に対してプラセボ+CCRT群で46.6ヶ月(95%信頼区間:27.5ヶ月-未到達)と、キイトルーダ+CCRT群でイベント発生のリスクを17%(HR:0.83,95%信頼区間:0.68-1.03,P=0.043)減少した。

一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は、キイトルーダ+CCRT併用群の92%(N=367人)に対してプラセボ+CCRT群で88%(N=352人)を示した。最も多くの患者で確認されたグレード3以上のAEは、好中球数減少がキイトルーダ+CCRT併用群の27%(N=108人)に対してプラセボ+CCRT群で25%(N=100人)、口内炎が20%に対して17%、貧血が0%に対して15%、嚥下障害が19%に対して16%、リンパ球数減少が19%に対して20%を示した。

重篤な有害事象(SAE)発症率は、キイトルーダ+CCRT併用群の62%(N=245人)に対してプラセボ+CCRT群で49%(N=197人)を示した。最も多くの患者で確認されたSAEは、肺炎がキイトルーダ+CCRT併用群の11%(N=43人)に対してプラセボ+CCRT群で6%(N=25人)、急性腎障害が8%(N=33人)に対して8%(N=30人)、発熱性好中球減少症が6%(N=24人)に対して2%(N=7人)を示した。

以上のKEYNOTE-412試験(NCT03040999)の結果よりJean-Pascal Machiels氏らは「局所進行HNSC患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ+CCRTの併用は、CCRT単独に比べてEFSを統計学的有意に改善しませんでした。本疾患の標準治療の確立は依然として課題があります」と結論を述べた。

参照元:
Pembrolizumab plus concurrent chemoradiotherapy versus placebo plus concurrent chemoradiotherapy in patients with locally advanced squamous cell carcinoma of the head and neck (KEYNOTE-412): a randomised, double-blind, phase 3 trial(The Lancet Oncology 2024. doi:10.1016/S1470-2045(24)00100-1)

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