この記事の3つのポイント
・切除可能非小細胞肺がんにおける術前化学免疫療法の有効性を解析したメタ解析
・従来の臨床試験の結果を用いて術前化学免疫療法と化学療法を比較
・術前化学免疫療法の優位性が示され、PD-L1発現レベルが1%未満においても生存期間の改善が示唆された。
2024年03月21日、医学誌『JAMA Oncology』にて、切除可能非小細胞肺がんに対する術前化学免疫療法、術前化学療法の有効性、安全性を検証したシステマティックレビュー試験の結果がRosalind and Morris Goodman Cancer InstituteのMark Sorin氏らにより公表された。
同試験では、2013年1月から2023年10月の期間でMEDLINE、Embaseに登録された切除可能非小細胞肺がんに対する術前化学免疫療法の有効性、安全性を検証した臨床試験を検索。5431人の患者(男性4020人[74.0%]、年齢中央値55~70歳)を対象とした43の適格試験のうち、3387人の患者を対象とした8件のランダム化臨床試験が抽出され、全生存期間(OS)、無イベント生存期間(EFS)、major pathological response(MPR)、complete pathological response(pCR)を術前化学免疫療法と術前化学療法で比較検証した結果が報告された。
ランダム化比較試験において、OSに関しては術前化学療法に比べて術前化学免疫療法が死亡のリスクを35%減少(HR:0.65,95%信頼区間:0.54-0.79)、EFSに関しては術前化学療法に比べて術前化学免疫療法がイベント、脂肪のリスクを41%減少(HR:0.59,95%信頼区間:0.52-0.67)と、術前化学免疫療法でいずれも改善傾向が確認された。また、病理学的奏効であるMPR(risk ratio:3.42,95%信頼区間:2.83-4.15)、pCR(risk ratio:5.52,95%信頼区間:4.25-7.15)に関しても、術前化学免疫療法で改善傾向が確認された。
PD-L1発現率1%未満の患者群においては、特にEFSに関して、術前化学免疫療法による統計学的有意な改善が確認された(HR:0.74,95%信頼区間:0.62-0.89)。
以上のシステマティックレビュー試験の結果よりMark Sorin氏らは、「切除可能非小細胞肺がんに対する術前化学免疫療法は、術前化学療法に比べて臨床的に有効性であり、PDL11発現率1%未満の患者においてEFSのベネフィットが得られることも示唆された」と結論付けた。
参照元:・従来の臨床試験の結果を用いて術前化学免疫療法と化学療法を比較
・術前化学免疫療法の優位性が示され、PD-L1発現レベルが1%未満においても生存期間の改善が示唆された。
Neoadjuvant Chemoimmunotherapy for NSCLC(JAMA Oncol. 2024. doi:10.1001/jamaoncol.2024.0057)