この記事の3つのポイント
・プラチナ系抗がん剤治療歴のある転移性尿路上皮がんが対象の第2相TROPHY-U-01試験
・抗PD-1抗体薬キイトルーダ+抗Trop-2抗体薬物複合体サシツズマブ ゴビテカンの有効性・安全性を検証
・有効性・安全性ともに有望な結果を示す
2024年01月23日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、免疫チェックポイント阻害薬による治療歴がなく、かつプラチナ系抗がん剤療法後に病勢進行した治療歴のある転移性尿路上皮がんに対して抗PD-1抗体薬ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)+抗Trop-2抗体薬物複合体サシツズマブ ゴビテカン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のTROPHY-U-01試験(NCT03547973)の結果がFred Hutchinson Cancer CenterのPetros Grivas氏らにより公表された。
TROPHY-U-01試験は、免疫チェックポイント阻害薬による治療歴がなく、プラチナ系抗がん剤療法後に病勢進行した転移性尿路上皮がんに対して3週を1サイクルとして1、8日目にサシツズマブ ゴビテカン10mg/kg+1日目にキイトルーダ200mg併用療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として臨床的有用率(CBR)、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性を検証した多施設共同オープンラベルの第2相試験である。
本試験に登録された41人の患者背景は、年齢中央値が67歳、性別は男性が83%、転移部位は肝臓が29%であった。
フォローアップ期間中央値14.8ヵ月時点における結果は、主要評価項目であるORRは41%(95%信頼区間:26.3%-57.9%)を示し、奏効の内訳は完全奏効(CR)が20%を示した。また臨床的有用率(CBR)は46%(95%信頼区間:30.7%-62.6%)を示した。
副次評価項目であるDORの中央値は11.1ヵ月(95%信頼区間:4.8ヵ月-未到達)、PFSの中央値は5.3ヵ月(95%信頼区間:3.4ヵ月-10.2ヵ月)、OSの中央値は12.7ヵ月(95%信頼区間:10.7ヵ月-未到達)を示した。
一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は61%を示し、主な症状は好中球減少症37%、白血球減少症20%、下痢20%であった。
以上の結果よりPetros Grivas氏らは、「免疫チェックポイント阻害薬による治療歴がなく、かつプラチナ系抗がん剤療法後に病勢進行した転移性尿路上皮がんに対して。抗PD-1抗体薬キイトルーダ+抗Trop-2抗体薬物複合体サシツズマブ ゴビテカン併用療法は高率な抗腫瘍効果を示し、有害事象も既存の臨床試験で確認されいる安全性プロファイルと一致していました」と結論を述べた。
参照元:Sacituzumab Govitecan in Combination With Pembrolizumab for Patients With Metastatic Urothelial Cancer That Progressed After Platinum-Based Chemotherapy: TROPHY-U-01 Cohort 3(Journal of Clinical Oncology 2024 DOI:10.1200/JCO.22.02835)