・EGFR阻害薬+化学療法治療歴のある転移性大腸がんが対象の試験
・ロンサーフ+EGFR阻害薬の再投与、またはロンサーフ+VEGF阻害薬の有効性・安全性を比較検証
・ロンサーフ+EGFR阻害薬の再投与群の方がより高い有効性を示す
2024年01月18~24日、米国・サンフランシスコにて開催された2024 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposiumにて、EGFR阻害薬+化学療法治療歴のある転移性大腸がんに対するロンサーフ(一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)+EGFR阻害薬再投与と、ロンサーフ+VEGF阻害薬の有効性、安全性を比較検証した臨床試験の結果がNational Taiwan University Hospital Hsinchu BranchのChing Tso Chen氏らにより公表された。
本試験は、初回治療でEGFR阻害薬+化学療法を実施した転移性大腸がん患者に対して、ロンサーフ+EGFR阻害薬を再投与する群、もしくはロンサーフ+VEGF阻害薬を投与する群に振り分け、評価項目として客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した試験である。
本試験に登録された30人であり、ロンサーフ+EGFR阻害薬併用群が20人、ロンサーフ+VEGF阻害薬併用群が10人であった。患者背景に関しては、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。また、ロンサーフ+EGFR阻害薬またはVEGF阻害薬治療の中央値は5レジメン(3-11レジメン)であった。
本試験の結果、ORRはロンサーフ+EGFR阻害薬群の30.0%に対してロンサーフ+抗VEGF阻害薬群で0%、病勢コントロール率(DCR)はロンサーフ+EGFR阻害薬群の70.0%に対してロンサーフ+VEGF阻害薬群で30.0%をそれぞれ示した。
PFSの中央値はロンサーフ+EGFR阻害薬群の4.0ヶ月に対してロンサーフ+VEGF阻害薬群で2.3ヶ月(P=0.389)、OSの中央値はロンサーフ+EGFR阻害薬群の12.67ヶ月に対してロンサーフ+VEGF阻害薬群で9.93ヶ月(P=0.722)をそれぞれ示した。
以上の臨床試験の結果よりChing Tso Chen氏らは、「ロンサーフ+EGFR阻害薬再投与は、ロンサーフ+VEGF阻害薬に比べてORRは高率であり、PFSとOSは両群で有意差は見られなかったが、ロンサーフ+EGFR阻害薬再投与群の方が数値的には改善傾向が見られた」と結論付けた。
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