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NTRK融合遺伝子陽性消化器がんに対するTRK阻害薬ヴァイトラックビ、持続的な抗腫瘍効果を示す

[公開日] 2024.02.16[最終更新日] 2024.02.16

この記事の3つのポイント ・NTRK融合遺伝子陽性消化器がんが対象の第2相NAVIGATE試験 ・TRK阻害薬ヴァイトラックビの有効性・安全性を検証 ・持続的な効果と管理可能な安全性シグナルを示す
2024年01月18~24日、米国・サンフランシスコにて開催された2024 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposiumにて、神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)融合遺伝子陽性の消化器がん患者に対するトロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)阻害薬であるヴァイトラックビ(一般名:ラロトレクチニブ)単剤療法の安全性、有効性を検証した第2相のNAVIGATE試験(NCT02576431)の消化器がんコホートの結果がPeking University Cancer Hospital and InstituteのLin Shen氏らにより公表された。 NAVIGATE試験はバスケット型試験であり、今回発表された消化器がんコホートでは、NTRK融合遺伝子陽性消化器がん患者に対して、1日2回ヴァイトラックビ100mg単剤を投与し、結果は独立評価委員会(IRC)によって判定された。 本試験に登録された42人の患者背景は、年齢中央値が67歳(32-90歳)、がんの種類は大腸がんが24人、膵臓がんが7人、胆管がんが4人、胃がんが3人、虫垂がんが1人、十二指腸がんが1人、食道扁平上皮がんが1人、肝臓がんが1人であった。また大腸がん症例の中で14人が高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を示した。前治療歴は0レジメンが5人、1レジメンが11人、2レジメンが15人、3レジメン以上が11人であった。 本試験の結果、評価可能であった34人の客観的奏効率(ORR)は29%(95%信頼区間:15-47%)であり、奏効の内訳は完全奏効(CR)が2人、部分奏効(PR)が8人、病勢安定(SD)が17人、病勢進行(PD)が2人、評価不能5人であった。奏効までの期間の中央値は1.8ヶ月、奏効持続期間(DOR)中央値は27.3ヶ月(95%信頼区間:5.6ヶ月-未到達)、無増悪生存期間(PFS)中央値は7.2ヶ月(95%信頼区間:3.5-12.3ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は14.1ヶ月(95%信頼区間:6.1-36.5ヶ月)を示した。 また、評価可能であった19人の大腸がんにおけるORRは47%(95%信頼区間:24%-71%)、奏効の内訳はCRが2人、PRが7人、SDが9人、評価不能が1人であった。なお、奏効を示した9人のうち5人が高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)であった。DORの中央値は27.3ヶ月(95%信頼区間:5.6ヶ月-未到達)、PFSの中央値は29.4ヶ月(95%信頼区間:5.4ヶ月-未到達)、OSの中央値は29.4ヶ月(95%信頼区間:6.1ヶ月-未到達)を示した。 一方の安全性として、治療関連有害事象(TRAE)は大半がグレード1もしくは2であり、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は17%(N=7人)、ALT/AST増加が2人、肝機能異常、知覚過敏、吐き気、貧血、好中球減少、白血球減少、血小板減少がそれぞれ1人であった。 以上の結果より、Lin Shen氏らは「NTRK融合遺伝子陽性消化器がんに対するTRK阻害薬ヴァイトラックビ単剤療法は、持続的な抗腫瘍効果を示し、忍容性も問題ありませんでした」と述べている。 参照元:
Updated efficacy and safety of larotrectinib (laro) in patients (pts) with TRK fusion gastrointestinal (GI) cancer.(ASCO GI 2024)
ニュース ヴァイトラックビ

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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