肝細胞がんに対するイミフィンジ+アバスチン+TACE併用療法、PFSを有意に改善ASCO GI 2024


  • [公開日]2024.02.09
  • [最終更新日]2024.02.06
この記事の3つのポイント
TACE適応の肝細胞がんが対象の第3相EMERALD-1試験
・TACEに抗PD-L1抗体薬イミフィンジアバスチンを併用することによる有効性安全性を検証
・TACE単独療法と比較してPFSを有意に改善

2024年01月18~24日、米国・サンフランシスコにて開催された2024 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposiumにて、肝動脈化学塞栓療法(TACE)に適応のある切除不能肝細胞がんを対象に、TACE+抗PD-L1抗体薬イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ)±アバスチン(一般名:ベバシズマブ併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のEMERALD-1試験(NCT03778957)の結果がUniversity of Pisa School of MedicineのRiccardo Lencioni氏らにより公表された。

EMERALD-1試験は、TACEに適応のある切除不能肝細胞がんに対して、イミフィンジ+アバスチン+TACEを併用する群(N=204人)、イミフィンジ+TACEを併用する群(N=207人)、TACEのみを投与する群(N=205人)に1対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてTACE単独療法と比較したイミフィンジ+アバスチン併用群の無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目としてTACE単独療法と比較したイミフィンジ併用群のPFS、全生存期間OS)、客観的奏効率ORR)、病勢進行までの期間(TTP)、安全性を比較検証した国際多施設共同二重盲検下試験である。

本試験に登録された616人の患者背景は、BCLCステージAが25.8%、ステージBが57.3%、ステージCが16.1%であり、3群で背景因子に大きなばらつきは見られなかった。

本試験の最終解析の結果、PFSの中央値は、TACE+イミフィンジ+アバスチン併用群の15.0ヶ月に対してTACE単独群で8.2ヶ月と、併用群で病勢進行または死亡のリスクを23%(HR:0.77,95%信頼区間:0.61-0.98,P=0.032)統計学的有意に改善し、主要評価項目基準を達成した。

また、副次評価項目であるPFSの中央値はTACE+イミフィンジ併用群の10.0ヶ月に対してTACE単独群で8.2ヶ月と、こちらも併用群で病勢進行または死亡のリスクを6%(HR:0.94,95%信頼区間:0.75–1.19,P=0.638)減少したが、統計学的有意な差は確認されなかった。

ORRは、TACE+イミフィンジ+アバスチン併用群で43.6%、TACE+イミフィンジ併用群で41.0%、TACE単独群で29.6%を示した。TTPの中央値は、TACE+イミフィンジ+アバスチン併用群で22.0ヶ月、TACE+イミフィンジ併用群で11.5ヶ月、TACE単独群で10.0ヶ月を示した。

一方の安全性として、グレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、TACE+イミフィンジ+アバスチン併用群で8.4%、TACE+イミフィンジ併用群で4.3%、TACE単独群で3.5%を示した。

以上の結果よりRiccardo Lencioni氏らは、「TACEに適応のある切除不能肝細胞がん患者に対するTACE+イミフィンジ+アバスチン併用療法は、免疫チェックポイント阻害薬ベースの治療でTACEに対してPFSの優越性を示した最初の第3相試験です」と述べた。

参照元:
EMERALD-1: A phase 3, randomized, placebo-controlled study of transarterial chemoembolization combined with durvalumab with or without bevacizumab in participants with unresectable hepatocellular carcinoma eligible for embolization.(ASCO GI 2024)

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