この記事の3つのポイント
・BRCA1/2遺伝子変異陽性の進行大腸がんが対象の第2相試験(TAPUR試験のコホートのひとつ)
・PARP阻害薬ターゼナの有効性・安全性を検証
・ターゼナ単剤療法は、十分な抗腫瘍効果を示さず
2024年01月18~24日、米国・サンフランシスコにて開催された2024 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposiumにて、BRCA1/2遺伝子変異陽性の進行大腸がんに対するPARP阻害薬タラゾパリブ(製品名:ターゼナ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02693535)の結果がCancer Research Consortium of West MichiganのKathleen J Yost氏らにより公表された。これは、特定のゲノム変化を有する進行がんを対象に、市販の標的薬剤の抗腫瘍活性を評価する第2相バスケット試験であるTAPUR試験の中のコホートのひとつである。
BRCA1/2遺伝子変異陽性の進行大腸がんに対して、1日1回ターゼナ1mgを病勢進行するまで投与し、主要評価項目として病勢コントロール率(DCR;主治医評価により完全奏効、部分奏効、または少なくとも16週間の病勢安定をDCRとして定義)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性等を検証した。
本試験に登録された10人の患者背景は、年齢中央値59歳(51-85歳)、前治療歴は2レジメンが2人、3レジメン以上が8人、BRCA遺伝子ステータスはBRCA1変異が3例、BRCA2変異が5例、BRCA1/2変異が2例であり、10例中7例で生殖細胞系または体細胞系の状態が報告されず、2例で体細胞系BRCA2変異、1例で生殖細胞系BRCA2変異が認められた。腫瘍部位は左側が2人、右側が2人、直腸3人、不明3人であった。
主要評価項目であるDCRは0%、副次評価項目であるPFSの中央値は8週間(95%信頼区間:6-8週)、OSの中央値は24週間(95%信頼区間:7-43週)を示した。一方の安全性として、2人の患者がグレード3の治療関連有害事象(TRAE)を発症し、それぞれ貧血、倦怠感であった。
以上の結果よりKathleen J Yost氏らは「BRCA1/2遺伝子変異陽性の進行大腸がんに対するPARP阻害薬ターゼナ単剤療法は、臨床的意義のある抗腫瘍効果を発揮できませんでした」と結論付けた。
参照元:Talazoparib (Tala) in patients (pts) with colorectal cancer (CRC) with BRCA1/2 mutations (mut): Results from the Targeted Agent and Profiling Utilization Registry (TAPUR) study.(ASCO GI 2024)