この記事の3つのポイント
・HER2陽性消化器がんが対象の第1b/2相SGNTUC-024試験
・HER2チロシンキナーゼ阻害剤ツカチニブ+抗HER2モノクロナール抗体ハーセプチン+FOLFOX併用療法の有効性安全性を検証
・有効性・安全性ともに有望な結果を示し、第3相試験が進行中
2024年01月18~24日、米国・サンフランシスコにて開催された2024 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposiumにて、治療歴のあるRAS遺伝子野生型HER2陽性転移性消化器がんに対するHER2チロシンキナーゼ阻害薬ツカチニブ+抗HER2モノクロナール抗体薬であるトラスツズマブ(製品名:ハーセプチン)+FOLFOX併用療法の有効性、安全性を検証した第1b/2相のSGNTUC-024試験(NCT04430738)の結果がDana-Farber Cancer InstituteのHaeseong Park氏らにより公表された。
SGNTUC-024試験は、治療歴のあるRAS遺伝子野生型HER2陽性転移性消化器がん患者に対して、1日2回ツカチニブ150mgもしくは300mg+ハーセプチン+FOLFOX併用療法を実施し、評価項目として安全性を検証した試験である。
本試験の結果、ツカチニブ150mg投与群で確認された主な治療関連有害事象(TRAE)は、下痢、疲労、吐き気、蛋白尿で、発症率は全てが60.0%(N=3/5人)を示した。ツカチニブ300mg投与群で確認された主なTRAEは、下痢90.0%(N=18/20人)、疲労65.0%(N=13/20人)であった。ツカチニブ150mg投与群における治療中止に至るTRAEは40.0%(N=2/5人)に認められ、20.0%(N=1/5人)がツカチニブ投与を中止した。ツカチニブ300mg投与群における治療中止に至るTRAEは35.0%(N=7/20人)に認められ、15.0%(N=3/20人)がツカチニブ投与を中止した。
また、ツカチニブ300mgを投与された患者のうち、確定客観的奏効率は、大腸がんで83.3%(5/6)、胃食道がんで40.0%(4/10)、胆道がんで0%(0/4)であった。
以上のSGNTUC-024試験の結果よりHaeseong Park氏らは「ツカチニブ+ハーセプチン+FOLFOX併用療法は、登録された患者集団において管理可能な安全性を示し、HER2陽性大腸がんおよび胃食道がんにおいて予備的な抗腫瘍活性が認められました」と結論付けた。
参照元:Results from the phase 1b/2 SGNTUC-024 study: Assessment of tucatinib, trastuzumab, and FOLFOX for HER2+ GI cancers.(ASCO GI 2024)