この記事の3つのポイント
・KRAS G12C変異陽性固形がんが対象の第1/2相試験
・KRAS G12C阻害剤であるglecirasibの有効性・安全性を検証
・glecirasibは膵がんなどの固形がんに対して有望な抗腫瘍効果を示す
2024年01月18~24日、米国・サンフランシスコにて開催された2024 ASCO Gastrointestinal Cancers SymposiumにてKRAS G12C変異陽性固形がんに対するKRAS G12C阻害薬であるglecirasib(JAB-21822)単剤療法の有効性、安全性を検証した2つのフェーズ1/2試験(中国で実施されたNCT05009329、米国や欧州、イスラエルで実施されたNCT05002270)のプール解析の結果がPeking University Cancer Hospital and InstituteのJian Li氏らにより公表された。
本試験は、KRAS G12C変異陽性固形がん(glecirasibの有効性が検証されている非小細胞肺がん、大腸がんは除く)に対してglecirasib単剤を投与し、評価項目として客観的奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)等を検証した試験である。
本試験に登録された48人の患者背景は、膵臓がん28人、胆道がん7人、胃がん3人、小腸がん3人、虫垂がん1人、肝細胞がん1人、腹膜がん1人、後気管支縦隔がん1人、無芽球がん1人、子宮頸がん1人であり、前治療歴中央値は1レジメン(0~4レジメン)、人種はアジア人85%、白人15%であった。
本試験の結果、膵臓がん患者28人のうち、部分奏効(PR)が13人で確認され、ORRは46.4%(N=13/28人)、DCRは96.4%、DORの中央値は4.1ヶ月、PFSの中央値は5.5ヶ月(95%信頼区間:1.2-13.1ヶ月)をそれぞれ示した。
膵臓がん以外のがん19例では、ORRは52.6%(N=10/19人)、DCRは84.2%(N=16/19人)、DORの中央値は8.3ヶ月、PFSの中央値は7.0ヶ月(95%信頼区間:1.1-15.2ヶ月)をそれぞれ示した。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は89.6%(N=43/48人)、10%以上の患者で確認されたTRAEは貧血52.1%、ビリルビン値増加39.6%、白血球数減少18.8%、AST増加18.8%、下痢16.7%、ALT増加14.6%、無力症14.6%、高トリグリセリド血症10.4%、吐き気10.4%であった。グレード3以上のTRAE発症率は25%(N=12/48人)、TRAEを原因とした治療中止、死亡は確認されなかった。
以上の試験の結果よりJian Li氏らは「KRAS G12C変異陽性固形がんに対するKRAS G12C阻害薬glecirasib単剤療法は、良好な抗腫瘍効果を示し、管理可能な安全性プロファイルを示しました」と結論付けた。
参照元:Preliminary activity and safety results of KRAS G12C inhibitor glecirasib (JAB-21822) in patients with pancreatic cancer and other solid tumors.(ASCO GI 2024)