切除不能局所進行食道扁平上皮がんに対する初回治療としてのチラゴルマブ+テセントリク+化学療法、化学療法に対してPFS、OSを優位に改善ASCO GI 2024より


  • [公開日]2024.01.31
  • [最終更新日]2024.01.29
この記事の3つのポイント
・切除不能局所進行食道扁平上皮がんが対象の第3相SKYSCRAPER-08試験
・初回治療としての抗TIGIT抗体チラゴルマブ+抗PD-L1抗体テセントリク化学療法有効性安全性を検証
・化学療法群に対して、PFSOSを優位に改善

2024年01月18~24日、米国・サンフランシスコにて開催されている2024 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposiumにて、切除不能局所進行食道扁平上皮がん(ESCC)に対する初回治療として抗TIGIT抗体薬であるチラゴルマブ+抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のSKYSCRAPER-08試験(NCT04540211)の結果がNational Taiwan University HospitalのChih-Hung Hsu氏らにより公表された。

SKYSCRAPER-08試験は、切除不能局所進行ESCCに対する初回治療として、21日を1サイクルとしてチラゴルマブ 600mg+テセントリク 1200mg+パクリタキセル175mg/m2+シスプラチン60–80mg/m2を6サイクル実施し、その後維持療法としてチラゴルマブ+テセントリク併用療法を実施する群、もしくは21日を1サイクルとしてパクリタキセル175mg/m2+シスプラチン60–80mg/m2を6サイクル実施し、その後維持療法としてプラセボを実施する群に1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として独立判定機関(IRF)による無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副次評価項目として主治医評価の無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率ORR)、奏効持続期間(DOR)、安全性を比較検証した試験である。

フォローアップ期間中央値6.5ヶ月時点における結果、主要評価項目であるPFSの中央値は、チラゴルマブ+テセントリク+化学療法群の6.2ヶ月に対して化学療法群で5.4ヶ月と、チラゴルマブ+テセントリク+化学療法群で病勢進行または死亡のリスクを44%統計学的有意に改善した(HR:0.56,95%信頼区間:0.45-0.70,P<0.001)。

フォローアップ期間中央値14.5ヶ月時点における結果、副次評価項目であるOSの中央値は、チラゴルマブ+テセントリク+化学療法群の15.7ヶ月に対して化学療法群で11.1ヶ月と、チラゴルマブ+テセントリク+化学療法群で死亡のリスクを30%統計学的有意に改善した(HR:0.70,95%信頼区間:0.55-0.88,P=0.0024)。

主治医評価のPFSの中央値は、チラゴルマブ+テセントリク+化学療法群の7.0ヶ月に対して化学療法群で5.5ヶ月と、チラゴルマブ+テセントリク+化学療法群で病勢進行または死亡のリスクを43%改善した(HR:0.57,95%信頼区間:0.46-0.72)。ORRは、チラゴルマブ+テセントリク+化学療法群の59.7%に対して化学療法群で45.5%、DORの中央値は、チラゴルマブ+テセントリク+化学療法群の7.1ヶ月に対して化学療法群で4.3ヶ月を示した。

一方の安全性として、治療関連有害事象(TRAE)発症率は、チラゴルマブ+テセントリク+化学療法群の98.2%に対して化学療法群で98.2%を示した。グレード3,4のTRAE発症率は、チラゴルマブ+テセントリク+化学療法群の59.6%に対して化学療法群で56.4%、グレード5のTRAE発症率は、チラゴルマブ+テセントリク+化学療法群の2.6%対して化学療法群で0.9%を示した。

以上の結果よりChih-Hung Hsu氏らは、「本試験の主要評価項目であるPFS、OSは共に統計学的、臨床的意義のある改善を示し、安全性プロファイルは既存の臨床試験で確認されている内容と一致していました」と結論付けた。

参照元:
SKYSCRAPER-08: A phase III, randomized, double-blind, placebo-controlled study of first-line (1L) tiragolumab (tira) + atezolizumab (atezo) and chemotherapy (CT) in patients (pts) with esophageal squamous cell carcinoma (ESCC)

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