この記事の3つのポイント
・脳転移のあるHER2陽性進行性乳がんが対象の第2相試験
・放射線治療+カペシタビン+HER2チロシンキナーゼ阻害薬Pyrotinibの有効性・安全性を検証
・良好な脳転移の制御と管理可能な安全性プロファイルを示す
2024年01月04日、医学誌『JAMA Oncology』にて、脳転移のあるHER2陽性進行性乳がんを対象に、脳に対する放射線治療+カペシタビン+HER2チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるPyrotinib併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT04582968)の結果がFudan University Shanghai Cancer CenterのZhaozhi Yang氏らにより公表された。
本試験は、脳転移のあるHER2陽性進行性乳がんにおいて、脳に対する分割定位放射線治療または全脳放射線治療と、Pyrotinib(400mg、1日1回)+カペシタビン(1000mg/m2、1日2回、各21日サイクルの1~14日目)による併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで実施し、主要評価項目として1年中枢神経系(CNS)無増悪生存率(PFS)、副次評価項目としてCNS客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性を検証した試験である。
合計40人の女性患者が登録され、年齢中央値は50.5歳(46-59歳)であった。
フォローアップ期間中央値17.3ヶ月時点における結果は、1年CNS PFSは74.9%(95%信頼区間:61.9%-90.7%)、CNS PFSの中央値は17.6ヶ月(95%信頼区間:12.8-34.1ヶ月)を示した。副次評価項目であるCNS ORRは85%(N=34/40人)を示した。
一方の安全性として、最も多く確認されたグレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)は、下痢が7.5%、無症候性放射線壊死が6.0%であった。
以上の結果よりZhaozhi Yang氏らは「脳転移のあるHER2陽性進行性乳がんに対する脳への放射線治療+カペシタビン+Pyrotinib併用療法は、CSN PFSを長期にわたり改善し、忍容性も良好でした」と結論を述べた。
参照元:Brain Radiotherapy With Pyrotinib and Capecitabine in Patients With ERBB2-Positive Advanced Breast Cancer and Brain Metastases(JAMA Oncol 2024, doi:10.1001/jamaoncol.2023.5791)