ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がんに対するROS1チロシンキナーゼ阻害薬レポトレクチニブ、安全かつ持続的な効果を示すThe New England Journal of Medicineより


  • [公開日]2024.01.26
  • [最終更新日]2024.01.23
この記事の3つのポイント
・ROS1 融合遺伝子陽性非小細胞肺がんが対象の第1/2相TRIDENT-1試験
・次世代ROS1チロシンキナーゼ阻害薬レポトレクチニブの有効性安全性を検証
・レポトレクチニブは持続的な効果と管理可能な安全性プロファイルを示す

2024年01月14日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて、ROS1融合遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するROS1チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるレポトレクチニブ単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第1/2相のTRIDENT-1 試験(NCT03093116)の結果がAlexander Drilon氏らにより公表された。

TRIDENT-1 試験は、ROS1融合遺伝子変異陽性NSCLCに対するレポトレクチニブ単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率ORR)、その他評価項目として奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間PFS)、安全性等を検証した試験である。

本試験の結果、ROS1 TKI 治療歴のない患者では、主要評価項目であるORRは79%(N=56/71人,95%信頼区間:68%-88%)、DORの中央値は34.1ヶ月(95%信頼区間:25.6ヶ月-未到達)、PFSの中央値は35.7ヶ月(95%信頼区間:27.4ヶ月-未到達)を示した。

ROS1 TKIによる治療歴あり、かつ化学療法による治療歴なしの患者では、奏効率は38%(N=21/56人,95%信頼区間:25%-52%)、DORの中央値は14.8ヶ月(95%信頼区間:7.6ヶ月-未到達)、PFSの中央値は9.0ヶ月(95%信頼区間:6.8ヶ月-未到達)を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は、目眩が58%、味覚異常が50%、知覚異常が30%であり、3%の患者が治療関連有害事象(TRAE)によりレポトレクチニブの治療を中止した。

以上のTRIDENT-1 試験の結果よりAlexander Drilon氏らは、「レポトレクチニブ単剤療法は、ROS1 TKIの投与歴に関わらず持続的で良好な抗腫瘍効果を示し、発症したAEは低グレードでした」と結論付けた。

参照元:
Repotrectinib in ROS1 Fusion–Positive Non–Small-Cell Lung Cancer (N Engl J Med 2024, DOI: 10.1056/NEJMoa2302299)

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン