この記事の3つのポイント
・進行性古典的ホジキンリンパ腫が対象の第3相SWOG S1826試験の高齢者群の結果
・抗PD-1抗体薬であるオプジーボ+AVD療法、抗CD30モノクロナール抗体アドセトリス+AVD療法の有効性・安全性を検証
・オプジーボ+AVD療法の方が良好な有効性・安全性を示す
2023年12月09日~2023年12月12日、米国サンディエゴにて開催された第65回米国血液学会(ASH 2023)にて進行性古典的ホジキンリンパ腫(cHL)に対する抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ)+AVD(ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法、抗CD30モノクロナール抗体アドセトリス(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン)+AVD療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のSWOG S1826試験の60歳以上の患者群における結果がWeill Cornell MedicineのSarah C. Rutherford氏らにより公表された。
SWOG S1826試験は、60歳以上の進行性cHL患者(N=97人)に対する初回治療として、オプジーボ+AVD療法を6サイクル実施する群、もしくはアドセトリス+AVD療法を実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、無イベント生存期間(EFS)、安全性を比較検証した試験である。
本試験に登録された97人の患者背景は、年齢中央値が66歳(60-83歳)、性別は男性が62%。人種は白人が86%、黒人が3%、ヒスパニック系が10%。病期はIV期が61%であった。
グレード3以上の血液関連有害事象(AE)発症率は、オプジーボ+AVD療法群の52%に対してアドセトリス+AVD療法群で38%。発熱性好中球減少症(FN)は、全グレードで見るとオプジーボ+AVD療法群の13%に対してアドセトリス+AVD療法群で19%、グレード3以上では13%対19%であった。敗血症は全グレードで見るとオプジーボ+AVD療法群の6%に対してアドセトリス+AVD療法群で21%、グレード3以上では6%対21%。感染症は全グレードで見るとオプジーボ+AVD療法群の19%に対してアドセトリス+AVD療法群で34%、グレード3以上では6%対21%。末梢神経障害は全グレードで見るとオプジーボ+AVD療法群で31%に対してアドセトリス+AVD療法群で66%、グレード3以上では2%対11%であった。
オプジーボ+AVD療法は感染症、敗血症により2人の死亡が確認され、3人が病勢進行または再発を発症した。一方、アドセトリス+AVD療法は感染症、敗血症により5人、肺炎により1人、原因不明により1人の死亡が確認され、8人が病勢進行または再発を発症した。
一方の有効性として、フォローアップ期間中央値12.1ヶ月時点におけるPFSは、アドセトリス+AVD療法群に比べてオプジーボ+AVD療法群で病勢進行または死亡のリスクを65%(HR:0.35,95%信頼区間:0.12-1.02)改善した(P=0.022)。1年PFSは、オプジーボ+AVD療法群の93%(95%信頼区間:79-98%)に対してアドセトリス+AVD療法群64%(95%信頼区間:45-77%)を示した。
1年EFSはオプジーボ+AVD療法群の93%(95%信頼区間:79-98%)に対してアドセトリス+AVD療法群で57%(95%信頼区間:38-72%)を示した(HR:0.19,95%信頼区間:0.06-0.61,P=0.0011)。1年OSはオプジーボ+AVD療法群の95%(95%信頼区間:83-99%)に対してアドセトリス+AVD療法群で83%(95%信頼区間:67-92%)を示した(HR:0.35,95%信頼区間:0.07-1.75,P=0.091)。
以上のSWOG S1826試験の結果よりSarah C. Rutherford氏らは「高齢進行性cHLに対するオプジーボ+AVD療法は、アドセトリス+AVD療法に比べPFS、EFSを改善しし、AEによる治療中止率、死亡率も低率でした」と述べている。
参照元:181 Nivolumab-AVD Is Better Tolerated and Improves Progression-Free Survival Compared to Bv-AVD in Older Patients (Aged ≥60 Years) with Advanced Stage Hodgkin Lymphoma Enrolled on SWOG S1826Clinically Relevant Abstract(ASH 2023)