再発難治性節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型に対するイサツキシマブ+リブタヨ、良好な効果を示す第65回米国血液学会より


  • [公開日]2024.01.15
  • [最終更新日]2024.01.12
この記事の3つのポイント
再発難治性節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型が対象の第2相試験
・抗CD38モノクロナール抗体サークリサ+抗PD-1抗体薬リブタヨ併用療法の有効性安全性を検証
・良好で持続的な有効性を示す

2023年12月09日~2023年12月12日、米国サンディエゴにて開催された第65回米国血液学会(ASH 2023)にて再発難治性節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型(extranodal NK/T-cell lymphoma, nasal type:ENKL)に対する抗CD38モノクロナール抗体サークリサ(一般名:イサツキシマブ)+抗PD-1抗体薬リブタヨ(一般名:セミプリマブ)併用療法の有効性、安全性を検証した臨床試験の結果がSamsung medical CenterのSeok Jin Kim氏らにより公表された。

本試験は、再発難治性ENKLに対して4週を1サイクルとして1、15日目にリブタヨ250mg+2、16日目にサークリサ10mg/kg併用療法を計6サイクル実施後、奏効患者には更に3週を1サイクルとしてリブタヨ250mg+サーリクサ10mg/kg併用療法を24ヶ月間もしくは病勢進行まで実施し、主要評価項目として完全奏効率(CR)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間PFS)を検証した試験である。

本試験に登録された37人の患者背景は、IV期が78%(N=29人)、予後予測指標はハイリスクが70%(N=26人)、2レジメン以上の前治療歴を有する割合が51%(N=19人)であった。

主要評価項目であるCRは43%(N=24/37人)を示し、評価項目達成基準である40%を達成した。ORRは65%(N=24/37人)であり、その奏効の内訳は完全奏効が16人、部分奏効が8人であった。奏効が見られた症例におけるPFSの中央値は21.0ヶ月(95%信頼区間:7.8-34.2ヶ月)を示した。

奏効の有無は病期によって異なり、試験登録時点でI/II期であった症例の奏効率は100%(N=8/8人)であり、III/IV期の症例では55%(N=16/29人)を示した(P=0.032)。また、PD-L1スコアを除き、PINK-E等の予後因子を含むその他の患者背景による奏効の差は確認されなかった。

一方の安全性として、グレード3以上の血液関連有害事象(AE)発症率は32%(N=12人)を示したが、これら有害事象(AE)は管理可能であり、死亡は1人の患者も確認されなかった。

以上の臨床試験の結果よりSeok Jin Kim氏らは、「再発難治性ENKLに対する抗CD38モノクロナール抗体薬サーリクサ+抗PD- 1抗体薬リブタヨ併用療法は、持続的で良好な抗腫瘍効果を示した」と結論付けた。

参照元:
301 Isatuximab and Cemiplimab in Relapsed or Refractory Extranodal Natural Killer/T-Cell Lymphoma: A Multi-Center, Open-Labeled Phase II Study (CISL2102/ICING study)(ASH 2023)

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