この記事の3つのポイント
・未治療のTP53変異陽性マントル細胞リンパ腫が対象の第2相試験
・ザヌブルチニブ+ガザイバ+ベネクレクスタ併用療法の有効性・安全性を検証
・安全性、有効性ともに有望な結果を示す
2023年12月09日~2023年12月12日、米国サンディエゴにて開催された第65回米国血液学会(ASH 2023)にて、未治療のTP53変異陽性マントル細胞リンパ腫(MCL)に対するブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるザヌブルチニブ+抗CD20モノクローナル抗体であるガザイバ(一般名:オビヌツズマブ)+BCL-2阻害薬であるベネクレクスタ(一般名:ベネトクラクス)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT03824483)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのAnita Kumar氏らにより公表された。
本試験は、未治療のTP53変異陽性MCL患者に対して、28日を1サイクルとしてザヌブルチニブ+ガザイバ+ベネクレクスタ併用療法を実施し、主要評価項目として微小残存病変(MRD)陰性化率を検証した試験である。
本試験に登録された25人の患者背景は、年齢中央値が65歳(29-82歳)。性別は男性が76%(N=19/25人)、全例(N=25人)がIV期でTP53変異陽性であった。また、TP53変異の種類は、48%(12/25人)が17p deletion(17番染色体短腕欠失)であった。
試験の結果、20%以上で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は、下痢が52%、好中球減少症が28%、インフュージョンリアクションが24%、挫傷が20%、COVID-19感染症が20%、吐き気が20%、血小板減少症が20%、皮膚障害が20%を示した。グレード3以上のTRAEは、好中球減少症が12%、インフュージョンリアクションが8%、COVID-19感染症が8%、下痢が4%、肝機能障害が4%、血小板減少症が4%、皮膚障害が4%であった。
客観的奏効率(ORR)は95%(24/25人)、完全奏効率(CR)は88%(22/25人)を示した。1年無増悪生存率(PFS)は84%(95%信頼区間:71%-100%)、1年全生存率(OS)は96%(95%信頼区間:89%-100%)をそれぞれ示した。治療期間24ヶ月を完遂した7人の患者の内、完全奏効率(CR)を示した5人においてMRDが検出されず、残りの2人はMRDが検出された。
以上の結果より、Anita Kumar氏らは、「未治療のTP53変異陽性MCL患者に対するザヌブルチニブ+ガザイバ+ベネクレクスタ併用療法は、有望な抗腫瘍効果を示し、MRD陰性化率も良好でした」と結論付けた。
参照元:738 A Multicenter Phase 2 Trial of Zanubrutinib, Obinutuzumab, and Venetoclax (BOVen) in Patients with Treatment-Naïve, TP53-Mutant Mantle Cell Lymphoma(ASH 2023)